第8話:『守護神ハル』
1. (起)
【活動写真の上演も終盤。だが、いまだに任務を遂行できないキヨシであった。】
キヨシ 「(ま、まずいぞ。もうすぐ上演が終わってしまう。早くハルさんの手をホールドしないと……)」
【横目でハルの様子を窺うキヨシ。ハルは、かなり前のめりになって物語に没頭していた。】
2. (承)
弁士 「さあさあ、追い詰められたるは若き志士!懐より取り出したるは、冷たく光る一挺のピストルーーっ!!」
【画面上では、こちら(観客席)にピストルを向けた志士の姿が映しだされた。】
キヨシ 「(勇気を出せ!キヨシ。お嬢様の言いつけだ。今こそハルさんの手を……)
弁士 「バッキューン!!なんとこちらに向けて弾を撃ってきたーーっ!!」
3. (転)
ハル 「キヨシさん!危ないっ!!」
キヨシ 「えっ……!?」
【もう少しでハルの手に届きそうなところで、突如、彼女は立ち上がり異次元の動きを見せた。】
ハル 「させないわ!!」
【ハルはキヨシの盾になり、向かってくる弾丸に裏拳を繰り出す。しかし当たり前だが、ハルの応戦はあえなく宙を切った。】
キヨシ 「(えっ!!ハ、ハルさん。ひょっとして、弾を弾き返そうとした??……素手で……!?)」
【ハルの繰り出した裏拳の、あまりの早い初速で発生した風圧が、時間差でキヨシの頬をかすめた。】
キヨシ 「ひっ……!」
4. (結)
【ハルの想定外の行動に、変装を施し尾行をしていた3人組(アラン・香織・ハウスキーパー)も何列か後ろの席で、思わず立ち上がっていた。】
ハル 「はっ!ごめんなさい。活動写真相手に、わたしとしたことが……。ん?」
【正気に戻ったハルは、振り返ってキヨシをみた時に、視界に違和感を感じた。】
アラン&香織&ハウスキーパー 「(あっ!気づかれたか!?)」
【3人組は慌てて席に着いた。】
ハル 「ねぇ、キヨシさん。そこの席、ご主人様たちに似てなかった?」
キヨシ 「バ、バカなことを言っちゃいけません!お嬢様が、こんなところにいるはずがーー」
【明らかに動揺するキヨシに対し、疑念を抱くハル。】
ハル 「何言ってるの?そもそも、お嬢様はいていいのよ。キヨシさん、なにかあなたも怪しいわね」
キヨシ 「あわわわ……そ、そうだった!( お嬢様は本来ここにいる設定だったぁぁーー!!詰んだ……)」
【じーーっ……と見つめるハル。】




