第19話:『微熱』
1. (起)
【キヨシが通路に戻ると、そこには肉の塊のように折り重なった兵士たちの山があった。中央に佇むハルへ、キヨシは驚愕を隠せず駆け寄る。】
キヨシ 「ハルさん、大丈夫ですか……って……えっ? これ、全部あなたが……?」
ハル 「ええ。少し、お掃除が長引いてしまいました」
2. (承)
【キヨシは周囲を見渡し、指揮官の姿がないことに気づく。】
キヨシ 「奴は? あの将校はどうしました?」
ハル 「お引き取り願いました。とても物分かりの良い方でしたので、助かりました」
キヨシ 「帰った……んですか?(とても信じがたいが……ハルさん……恐ろしいポテンシャルだ)全く、あなたには敵いませんね」
3. (転)
ハル 「では、我々も戻りましょ……っ」
【香織の無事を確認し、安堵して一歩前に足を踏み出すハル。しかし、集中力が切れたのか、極度の疲労でバランスを失う。】
キヨシ 「あっ!危ない!」
【膝から崩れそうになるハルの体を、キヨシが咄嗟に抱きかかえる。】
キヨシ 「大丈夫ですか、ハルさん!」
4. (結)
【キヨシの腕の中で、ハルはそっと顔を上げる。至近距離で見つめ合う二人。動揺して顔を赤らめるキヨシを見て、ハルはニヒルに微笑んだ。】
ハル 「……いいえ。……大丈夫じゃないかも……」
キヨシ 「えっ、どこか怪我を!?」
【からかうようなハルの視線に、さらに動揺するキヨシ。彼を揺さぶるこのひと時こそが、彼女にとっての『最高の癒やし』であった。】




