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第13話:『清掃開始』

     1. (起)

【夜の海面に浮かぶ、大型の密輸船『紅龍』。その船底近くに、漆黒の防水コートを羽織った二つの影が静かに取り付いた。】


キヨシ 「ふぅ……。グリスを塗りたくったおかげで、服を濡らさずに済みましたね」


【手袋を締め直すハル。】


ハル 「ええ。……ここからはエヴァンスの『家事』の時間です」


     2. (承)

【二人が吸い込まれるように船内へ侵入すると、そこは薄暗い機関室の通路だった。】


ハル:「……潜入成功ですね。ここからは別動で。私はお嬢様の捜索を、キヨシさんは操舵室の制圧をお願いします」


キヨシ:「了解。……ま、フットマンの仕事の範疇はとっくに超えてますがね」


【薄暗い通路を、音もなく進む二人。角を曲がろうとした瞬間、マフィアのゲスな笑い声が聞こえ、二人は瞬時に影に溶け込む。】


マフィアA 「へへっ、あの生娘、ボスの上客に渡せば、俺たちの取り分も跳ね上がるぜ」


マフィアB 「ああ、あんな綺麗な泣き顔、拝めるのは今だけだ。たっぷり泣かせて、金に変えてやろうじゃねえか」


     3.(転)

【その言葉を聞いた瞬間、ハルの瞳から温度が消える。さらに凍りつくような視線をキヨシに向けた。】


ハル 「……キヨシさん。予定変更です。制圧だけでは、私の気が済みません」


【苦笑しつつ銃の安全装置を外すキヨシ。】


キヨシ 「了解。お嬢様を泣かせた罪は、高くつきますからね!」


【通路の角から躍り出るハルとキヨシ。マフィアたちが銃を構えるより速く、二人の「仕事」が始まる。キヨシは懐から抜いた拳銃を、まるでお盆でも扱うような滑らかさで構える。】


キヨシ 「……ハルさん、右の三人は任せても?」


ハル:「ええ。私が『アイロン』をかけて差し上げるわ」


【キヨシの銃口が火を吹く。だが、その音は驚くほど短い。消音器サプレッサーなどない時代、彼は「厚手の布」を銃身に巻き付け、発砲音を殺している。】


     4.(結)

【アランたちが待つ岸壁。船内から微かな「鈍い音」が響く。アランは懐中時計を見つめ、静かに呟く。】


アラン 「……始まったか。ハル、キヨシ。お前たちの『プロの意地』、見せてもらうぞ」


【ハルは、襲いかかるマフィアの腕を掴むと、流れるような円の動きで相手の重心を奪う。骨が軋む音と共に、巨漢が床に沈む。さらに間髪入れず、ハルの鋭い手刀が男の頸動脈を捉えた。】


マフィアA 「な、なんだこの女……っ!?」


ハル 「……ただのメイドよ」


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