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第12話:『別ジャンル』

     1. (起)

【深夜の地方駅。漆黒の汽車の前で、3名の鋭い眼光を放つ私服警官と、政府要人が待機している。】


政府要人 「エヴァンス殿、公にはできませんが、警視庁から選りすぐりの猛者を3名同行させます。我々を含め計8名、この汽車は横浜まで止まりません」


アラン 「無理を言ってすまない」


     2. (承)

【爆走する特別列車の客車内。揺れるランプの下、アランは窓の外を見つめ、ポケットにある『鷹のボタン』をそっと指先でなぞった。】


アラン (……親の代から仕えてくれた者が、私を裏切るなど。いや、今は考えるな。香織を救い出すことだけに専念するんだ!) 


【横浜港到着。私服警官たちが現地の警察と無言で護衛を引き継ぐ。】


     3. (転)

現地警官A 「状況を説明します。我々は公には動くことは出来ませんが、密かに船内の構造と『唯一の死角』を特定しました」


政府要人 「そういう事です。エヴァンス殿。誠に心苦しいのですが、我々にできる事はここまでです。心中、お察しいただければ幸いです」


アラン 「とんでもない。感謝する。全て私のわがままから始まったことだ。これ以上、君達には迷惑をかけるつもりはない。安心してくれ」


【ハルは周囲を見渡した。】


ハル 「……なるほど。過剰な配備は組織を刺激する。この少数精鋭こそが、研ぎ澄まされた選択というわけですね、覚悟が決まりました」


キヨシ 「その通りだ。ハルさん!ここからは俺たちだけの力で、お嬢様を助けよう!」


     4. (結)

【あまりの至れり尽くせりな展開に、キヨシは、ふとアランへ耳打ちする。】


キヨシ 「ところで、ご主人様。最近、不安なことがありまして……これって、たしか『なんとなく4コマ劇場』ってタイトルでしたよね?」


【真顔で答えるアラン。】


アラン 「4コマ……? なんだそれは。……それより早く地図を出してくれ」


【キヨシは岸壁の影で、警察が用意した隠密ルートの図面を広げる。】


現地警官B 「海側の給水口付近にハッチがあります。そこからなら、マフィアの警備を潜り抜けられるはずです」


アラン 「……よし!これより先は、我々の仕事だ。キヨシ、ハル。用意はいいな」


ハル 「はい!」


キヨシ 「ええ。この至れり尽くせりの『裏仕事』、きっちり完遂させてもらいます!(……完全に別ジャンルになっちまってるな、こりゃ)」


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