第13章 — 「初めて見る異世界の町」
第13章 — 「初めて見る異世界の町」
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朔継は町門の前に立っていた。
高さ五メートルの石壁がそびえている——年月に削られた灰色の石で積み上げられている。門の上には旗が翻っている——濃い青色に銀色の剣と盾の紋章。その旗の下で、二人の衛兵が槍を手に立ち、簡素な鎖帷子と鉄兜を身に着けている。
彼らは入ってくる者すべてを監視している。
朔継は遠くから観察した。
衛兵たちは旅人を一人ひとり確認している。ほとんどは手を振って通り過ぎるが、一部——特に大きな荷物を運ぶ者たち——は止められて検査を受けている。
基本的な警備システム。
厳しすぎない。
緩すぎない。
彼は門へ向かって歩いた。
足取りは静かだ。
表情は無表情だ。
外見に変わったところはない——服装はアースアーカイブから召喚した普通の衣服で、簡素で目立たない。白いリネンのシャツに黒いズボン、革靴。目に見える武器はない。過剰な装飾品もない。
ただの普通の旅人に見える。
彼が近づくと、一人の衛兵が彼を見た。
「おい、そこのお前。」
朔継は立ち止まった。
衛兵が近づいてくる。三十代ほどの男で、薄い顎鬚と鋭い目をしている。彼は朔継を頭からつま先まで観察した。
「見かけない顔だ。どこから来た?」
朔継は落ち着いて答えた。
「東の方からだ。旅人だ。」
衛兵は眉をひそめた。
「東? 東には村なんてないぞ。森とダンジョンしかない。」
「森を抜けてきた。」
衛兵は疑わしそうに彼を見つめた。
「森を? 一人で? 武器もなしに?」
「武器は必要ない。」
衛兵はしばし沈黙し、小さく笑った。
「へっ。変わった奴だな。まあ、悪人には見えん。通っていいぞ。ただし気をつけろ——中にはよそ者を嫌う奴もいる。」
朔継はうなずいた。
「ありがとう。」
彼は門をくぐった。
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そして町が彼の前に広がった。
朔継は立ち止まった。
予想していなかった。
この町は——生きている。
目の前には、まっすぐに伸びる大通りがある。幅は約八メートル。通りの両側には、木造と石造りの建物が密集している——商店、酒場、家々。屋根は藁と粘土瓦でできており、小さな煙突からは煙がゆっくりと立ち上っている。
人々が通りを埋めている。
馬車を引く商人。
収穫物を背負った農民。
大人たちの足元を走り回る子供たち。
道端でパンを売る老女。
鍛冶屋で金属を打つ音。
白いローブを着た僧侶が、手に本を持って歩いている。
音。
いたるところに音がある。
市場での値切り交渉の声。
石畳の上を荷車が通る音。
子供たちの笑い声。
遠くの寺院から聞こえる鐘の音。
朔継は通りの真ん中に立ち、そのすべてを見つめた。
これが新しい世界で初めての町だ。
これが本物の生活だ。
背景ではない。
幻覚ではない。
本物だ。
彼は深く息を吸い込んだ。
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彼は歩き始めた。
ゆっくりと。
観察しながら。
パン屋を通り過ぎる——焼きたてのパンの香りが鼻をつく。
鍛冶屋を通り過ぎる——金属にハンマーを打つ音が耳に響く。
市場を通り過ぎる——商人たちが商品を叫んで売っている。
「新鮮なリンゴだ! 北の果樹園から届いた!」
「牛革! 上質な牛革!」
「癒しの薬草! 効き目は保証する!」
朔継は露店の前で立ち止まった。
木の台の上には、様々な商品が並べられている。野菜。果物。吊るされた肉。小さな袋に入った香辛料。
彼は木の板に書かれた値段を確認した。
リンゴ — 銅貨3枚/個。
パン — 銅貨2枚/切れ。
肉 — 銅貨8枚/ポンド。
癒しの薬草 — 銀貨5枚。
これらの値段は妥当だ。
ゲネシスヴァの説明通りだ。
彼はポケットから銅貨を数枚取り出した——ゲネシスヴァの空間で召喚した貨幣だ。食料を買うには十分だ。
彼はパン一斤とリンゴ一個を買った。
パンはまだ温かい。
リンゴは真っ赤で新鮮だ。
彼はパンをかじった。
味は——パンだ。
普通のパン。
しかし味が違う。より濃厚だ。より香り高い。
この世界で焼かれたパンだ。
召喚ではない。
人間の手で作られたものだ。
彼は小さく微笑んだ。
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朔継は歩き続けた。
宿屋を通り過ぎる——「金獅子亭」。前では、太った男がエプロンを着けて木の床を掃いている。彼は一瞬朔継を見て、また掃き続けた。
寺院を通り過ぎる——小さな寺院で、曲線を描く屋根と内部の女神像がある。数人がその像の前に跪き、手を組んで祈っている。
ギルドを通り過ぎる。
冒険者ギルド — 町支部。
石造りの二階建ての建物で、扉の上に大きな木製の看板が掲げられている。中では、武器や防具を身に着けた人々——冒険者たち——が木のテーブルに座り、話し、飲み、笑っている。
ギルド。
冒険者が集まる場所。
依頼を受ける場所。
彼は入らなかった。
今はまだ。
外から観察するだけだ。
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彼はさらに歩いた。
市場を通り過ぎ。
武器屋を通り過ぎ。
家々を通り過ぎ。
そしてそのとき——彼は何かを見つけた。
足を止める何かを。
通りの端、織物屋の前で、一人の女性が二人の衛兵の前に立っていた。
その女性は——エルフだった。
長く尖った耳。
銀色のブロンドの髪。
青白い肌。
彼女は濃い青色のローブを着ていたが、それはくしゃくしゃで汚れていた。顔は青白く、目は疲れ切っている。彼女の体には何かがあった——朔継の鑑定+が自動的に反応する何かが。
【鑑定+ — 生物反応検出】
対象:女性エルフ
種族:エルフ
年齢:約120歳(人間換算で20歳相当)
状態:苦悩 — 監視中
能力:中級魔法 — 属性適性:光/風
状態:魔力過負荷 — 危険
備考:この女性は危険な状態にある。体内の魔力が不安定だ。早急に対処しなければ、死亡する可能性がある。
魔力過負荷。
危険。
朔継は眉をひそめた。
状況を観察した。
衛兵の一人が大声で言った。
「書類がないと入れない! これは侯爵様の命令だ!」
エルフの女性は弱々しい声で答えた。
「私は……ただ薬を買いたいだけです。それに書類は必要ないはずです。」
「知らん! 書類がないなら入れない!」
女性はうつむいた。
彼女の手はローブの端をぎゅっと握りしめている。
「私は……ただ……」
朔継は観察した。
より近くで見た。
女性は震えている。恐怖のせいではない——別の理由で。彼女の指先にかすかな光がちらついている。不安定な魔力。もうすぐ爆発しそうな魔力。
彼女は自分の魔力を制御できていない。
このまま放っておけば、爆発するかもしれない。
そして周囲の人々を傷つけるかもしれない。
朔継は動かなかった。
ただ観察した。
待った。
何が起こるか見ていた。
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衛兵がエルフの女性を押した。
「行け! 面倒を起こすな!」
女性はよろめいて後退した。
彼女のローブが少し開き、朔継はその下に何かを見た——傷だ。腕の古い傷。うまく治っていない傷。かすかな光を放つ傷。
魔法の傷。
過負荷。
彼女は自分の魔力で傷ついている。
朔継は決断した。
彼は前に歩み出た。
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【次章 第14章 — 「奴隷ではなく、人間として」へ続く】
朔継はエルフの女性に近づいた。
衛兵が疑わしそうに彼を見た。
「おい、お前は誰だ?」
朔継は答えなかった。
ただエルフの女性の隣に立ち、落ち着いた表情で衛兵を見つめた。
「何か問題でも?」
衛兵は眉をひそめた。
「お前に関係ない、旅人。」
「彼女は助けを必要としている。」
「俺たちは命令を執行しているだけだ。彼女は書類を持っていない。」
朔継は衛兵を見つめた。
「何の書類だ?」
「入域書類だ! すべてのよそ者は侯爵様の書類を持っていなければならない!」
朔継は息を吐いた。
「俺もよそ者だ。書類は持っていない。」
衛兵は沈黙した。
朔継は冷静に彼を見つめた。
「なら、俺も捕まえろ。」
衛兵は驚いた。
「な——」
「俺も書類を持っていない。俺もよそ者だ。書類がないという理由で彼女を捕まえるなら、俺も捕まえろ。」
衛兵は沈黙した。
彼は朔継を見つめた。
次にエルフの女性を見つめた。
再び朔継を見つめた。
「……お前、頭がおかしいんじゃないか。」
「かもしれないな。」
衛兵はぶつぶつ言ったが、後退した。
「あの女を連れて行け。早く。俺が考え直す前に。」
朔継はうなずいた。
「ありがとう。」
彼は優しくエルフの女性の腕を取った。
「行こう。」
女性は疲れた目で彼を見つめた。
「あなた……誰?」
「後で。」
彼は彼女を衛兵たちから連れ去り、集まり始めた群衆を後にした。
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【第14章へ続く……】




