↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球を召喚できるスマホを持って異世界に来たので、誰もいない大地で文明を始めます』  作者: MagnusOps


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/56

第13章 — 「初めて見る異世界の町」

第13章 — 「初めて見る異世界の町」


---


朔継は町門の前に立っていた。


高さ五メートルの石壁がそびえている——年月に削られた灰色の石で積み上げられている。門の上には旗が翻っている——濃い青色に銀色の剣と盾の紋章。その旗の下で、二人の衛兵が槍を手に立ち、簡素な鎖帷子と鉄兜を身に着けている。


彼らは入ってくる者すべてを監視している。


朔継は遠くから観察した。


衛兵たちは旅人を一人ひとり確認している。ほとんどは手を振って通り過ぎるが、一部——特に大きな荷物を運ぶ者たち——は止められて検査を受けている。


基本的な警備システム。


厳しすぎない。


緩すぎない。


彼は門へ向かって歩いた。


足取りは静かだ。


表情は無表情だ。


外見に変わったところはない——服装はアースアーカイブから召喚した普通の衣服で、簡素で目立たない。白いリネンのシャツに黒いズボン、革靴。目に見える武器はない。過剰な装飾品もない。


ただの普通の旅人に見える。


彼が近づくと、一人の衛兵が彼を見た。


「おい、そこのお前。」


朔継は立ち止まった。


衛兵が近づいてくる。三十代ほどの男で、薄い顎鬚と鋭い目をしている。彼は朔継を頭からつま先まで観察した。


「見かけない顔だ。どこから来た?」


朔継は落ち着いて答えた。


「東の方からだ。旅人だ。」


衛兵は眉をひそめた。


「東? 東には村なんてないぞ。森とダンジョンしかない。」


「森を抜けてきた。」


衛兵は疑わしそうに彼を見つめた。


「森を? 一人で? 武器もなしに?」


「武器は必要ない。」


衛兵はしばし沈黙し、小さく笑った。


「へっ。変わった奴だな。まあ、悪人には見えん。通っていいぞ。ただし気をつけろ——中にはよそ者を嫌う奴もいる。」


朔継はうなずいた。


「ありがとう。」


彼は門をくぐった。


---


そして町が彼の前に広がった。


朔継は立ち止まった。


予想していなかった。


この町は——生きている。


目の前には、まっすぐに伸びる大通りがある。幅は約八メートル。通りの両側には、木造と石造りの建物が密集している——商店、酒場、家々。屋根は藁と粘土瓦でできており、小さな煙突からは煙がゆっくりと立ち上っている。


人々が通りを埋めている。


馬車を引く商人。


収穫物を背負った農民。


大人たちの足元を走り回る子供たち。


道端でパンを売る老女。


鍛冶屋で金属を打つ音。


白いローブを着た僧侶が、手に本を持って歩いている。


音。


いたるところに音がある。


市場での値切り交渉の声。


石畳の上を荷車が通る音。


子供たちの笑い声。


遠くの寺院から聞こえる鐘の音。


朔継は通りの真ん中に立ち、そのすべてを見つめた。


これが新しい世界で初めての町だ。


これが本物の生活だ。


背景ではない。


幻覚ではない。


本物だ。


彼は深く息を吸い込んだ。


---


彼は歩き始めた。


ゆっくりと。


観察しながら。


パン屋を通り過ぎる——焼きたてのパンの香りが鼻をつく。


鍛冶屋を通り過ぎる——金属にハンマーを打つ音が耳に響く。


市場を通り過ぎる——商人たちが商品を叫んで売っている。


「新鮮なリンゴだ! 北の果樹園から届いた!」


「牛革! 上質な牛革!」


「癒しの薬草! 効き目は保証する!」


朔継は露店の前で立ち止まった。


木の台の上には、様々な商品が並べられている。野菜。果物。吊るされた肉。小さな袋に入った香辛料。


彼は木の板に書かれた値段を確認した。


リンゴ — 銅貨3枚/個。


パン — 銅貨2枚/切れ。


肉 — 銅貨8枚/ポンド。


癒しの薬草 — 銀貨5枚。


これらの値段は妥当だ。


ゲネシスヴァの説明通りだ。


彼はポケットから銅貨を数枚取り出した——ゲネシスヴァの空間で召喚した貨幣だ。食料を買うには十分だ。


彼はパン一斤とリンゴ一個を買った。


パンはまだ温かい。


リンゴは真っ赤で新鮮だ。


彼はパンをかじった。


味は——パンだ。


普通のパン。


しかし味が違う。より濃厚だ。より香り高い。


この世界で焼かれたパンだ。


召喚ではない。


人間の手で作られたものだ。


彼は小さく微笑んだ。


---


朔継は歩き続けた。


宿屋を通り過ぎる——「金獅子亭」。前では、太った男がエプロンを着けて木の床を掃いている。彼は一瞬朔継を見て、また掃き続けた。


寺院を通り過ぎる——小さな寺院で、曲線を描く屋根と内部の女神像がある。数人がその像の前に跪き、手を組んで祈っている。


ギルドを通り過ぎる。


冒険者ギルド — 町支部。


石造りの二階建ての建物で、扉の上に大きな木製の看板が掲げられている。中では、武器や防具を身に着けた人々——冒険者たち——が木のテーブルに座り、話し、飲み、笑っている。


ギルド。


冒険者が集まる場所。


依頼を受ける場所。


彼は入らなかった。


今はまだ。


外から観察するだけだ。


---


彼はさらに歩いた。


市場を通り過ぎ。


武器屋を通り過ぎ。


家々を通り過ぎ。


そしてそのとき——彼は何かを見つけた。


足を止める何かを。


通りの端、織物屋の前で、一人の女性が二人の衛兵の前に立っていた。


その女性は——エルフだった。


長く尖った耳。


銀色のブロンドの髪。


青白い肌。


彼女は濃い青色のローブを着ていたが、それはくしゃくしゃで汚れていた。顔は青白く、目は疲れ切っている。彼女の体には何かがあった——朔継の鑑定+が自動的に反応する何かが。


【鑑定+ — 生物反応検出】


対象:女性エルフ

種族:エルフ

年齢:約120歳(人間換算で20歳相当)

状態:苦悩 — 監視中

能力:中級魔法 — 属性適性:光/風

状態:魔力過負荷 — 危険

備考:この女性は危険な状態にある。体内の魔力が不安定だ。早急に対処しなければ、死亡する可能性がある。


魔力過負荷。


危険。


朔継は眉をひそめた。


状況を観察した。


衛兵の一人が大声で言った。


「書類がないと入れない! これは侯爵様の命令だ!」


エルフの女性は弱々しい声で答えた。


「私は……ただ薬を買いたいだけです。それに書類は必要ないはずです。」


「知らん! 書類がないなら入れない!」


女性はうつむいた。


彼女の手はローブの端をぎゅっと握りしめている。


「私は……ただ……」


朔継は観察した。


より近くで見た。


女性は震えている。恐怖のせいではない——別の理由で。彼女の指先にかすかな光がちらついている。不安定な魔力。もうすぐ爆発しそうな魔力。


彼女は自分の魔力を制御できていない。


このまま放っておけば、爆発するかもしれない。


そして周囲の人々を傷つけるかもしれない。


朔継は動かなかった。


ただ観察した。


待った。


何が起こるか見ていた。


---


衛兵がエルフの女性を押した。


「行け! 面倒を起こすな!」


女性はよろめいて後退した。


彼女のローブが少し開き、朔継はその下に何かを見た——傷だ。腕の古い傷。うまく治っていない傷。かすかな光を放つ傷。


魔法の傷。


過負荷。


彼女は自分の魔力で傷ついている。


朔継は決断した。


彼は前に歩み出た。


---


【次章 第14章 — 「奴隷ではなく、人間として」へ続く】


朔継はエルフの女性に近づいた。


衛兵が疑わしそうに彼を見た。


「おい、お前は誰だ?」


朔継は答えなかった。


ただエルフの女性の隣に立ち、落ち着いた表情で衛兵を見つめた。


「何か問題でも?」


衛兵は眉をひそめた。


「お前に関係ない、旅人。」


「彼女は助けを必要としている。」


「俺たちは命令を執行しているだけだ。彼女は書類を持っていない。」


朔継は衛兵を見つめた。


「何の書類だ?」


「入域書類だ! すべてのよそ者は侯爵様の書類を持っていなければならない!」


朔継は息を吐いた。


「俺もよそ者だ。書類は持っていない。」


衛兵は沈黙した。


朔継は冷静に彼を見つめた。


「なら、俺も捕まえろ。」


衛兵は驚いた。


「な——」


「俺も書類を持っていない。俺もよそ者だ。書類がないという理由で彼女を捕まえるなら、俺も捕まえろ。」


衛兵は沈黙した。


彼は朔継を見つめた。


次にエルフの女性を見つめた。


再び朔継を見つめた。


「……お前、頭がおかしいんじゃないか。」


「かもしれないな。」


衛兵はぶつぶつ言ったが、後退した。


「あの女を連れて行け。早く。俺が考え直す前に。」


朔継はうなずいた。


「ありがとう。」


彼は優しくエルフの女性の腕を取った。


「行こう。」


女性は疲れた目で彼を見つめた。


「あなた……誰?」


「後で。」


彼は彼女を衛兵たちから連れ去り、集まり始めた群衆を後にした。


---


【第14章へ続く……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。