5
屋敷に入り、ダリアはグラムに帰ってきた事を伝えに行く。
エマリエルの付き添いという名目で、ダリアは家を出ていた。
「ただいま戻りました」
「お帰り。遅かったな」
時計を見ると、伝えていた帰宅時間よりも大幅に超えていた。ブレーデンとの時間があったからだと気付いたダリアは、後ろめたさもあって「ごめんなさい」と謝罪した。
「いや、無事に帰ってきてくれたからそれでいいよ」
グラムは微笑む。
「あら、ダリアおかえり」
すると、リリアンヌもやってきた。
「疲れたでしょう。湯浴みをしてゆっくり休みなさい」
「そうするわ。二人とも、おやすみなさい」
そしてダリアはその場を後にした。そんな愛娘を二人はじっと見つめた後に、リリアンヌがそっと口を開く。
「…まだ伝えていないのね?」
「今日は疲れているだろうからな」
グラムがはあ、とため息をつく。そんな様子の夫を見て、リリアンヌは眉を顰めながら言った。
「あの子は…どう受け止めるかしら」
「……」
グラムは窓から見えた、ダリアとブレーデンの姿を思い返しながら言った。
「私は…あの子が心から幸せになれる道を選んでやりたい。それが親心というものだ」
翌日、ダリアはグラムに呼び出された。
部屋へ入ると、グラムは机の上に置かれた一通の手紙を指先で押し、ダリアの前へすっと滑らせる。
「これは何ですか?」
ダリアが尋ねると、グラムは意を決したように口を開いた。
「お前に、縁談の話が来ている」
ダリアは目を見開いた。




