Ep:88 碧竜
アオイが出て行ってから、僕達は暫く話し合っていた。議題は今後の事だとか、剣聖様をどうするだとか。
「結局、陛下は敵なのか…?それに、剣聖様が敵だった場合、こちらに勝算はあるのか…?」
ダギル大尉は、結論の出ない話し合いの内容を呟く。その時、会議室の扉が開かれた。
「…何だ…本当にまだ居たのか…」
そう言って入って来たのは、アオイだった。
「何処に行ってたんだ?」
ダギル大尉は、アオイに聞く。アオイはそれに答えず、無言でダギル大尉の前に本を投げる。
「騎士団の成り立ち…?」
呟き、ダギル大尉は本の表紙を捲る。そして、目次まで進めた。
「おいおいおい…!これ!」
ダギル大尉は声を上げ、皆に見える様に本を机の真ん中に出し、目次の一番最初の部分を指差す。そこには、Order of the Emerald dragon、碧竜騎士団の名前があった。
「Emerの意味って…!」
「碧竜騎士団の事だったのですか!?」
エルとアカネが続けるように言う。
「確かに理に適っている。この本が資料室にあったなら、団長は落ちる直前に見ているかも知れない」
ダギル大尉はそう考察する。
「もう一つ…あの雀色のフードを被った奴は女だった…碧竜騎士団で真っ先に思い浮かべられる女は誰だ…?」
アオイの言葉に、僕は教本で読んだ事を思い出す。
「まさか…!」
「碧竜騎士団団長、ハーツ=カルト!」
ダギル大尉の言葉を遮り、僕は立ち上がりながら言う。
「団長を含めた、この国で二人だけの女団長…そして…」
「あぁ…全騎士団中最強と謳われる剣の使い手だ…」
ダギル大尉はアオイに視線を向け、言葉の続きをアオイが言う。
「実力は、剣聖様に勝るとも劣らないと言われる程…」
ダギル大尉は呟く。
「あの…!」
突然エルがそう言って、小さく手を上げる。
「一つの意見として聞いて欲しいんですけど、もしもその碧竜騎士団団長が剣聖様から剣を教わっていたとしたら…」
「確かに、師弟関係、及び主従関係は成り立ちますね…そう考えると、剣聖様が少なくともハーツ団長の上…」
エルの質問に、アカネが答える。
「そうだとしたら、やっぱり王様が真の敵…?」
「…お前達が騎士団に入る事になったのも、国王に仕向けられていたのかも知れない…」
アオイは腕を組みながら言う。その一言で、会議室は沈黙に包まれた…




