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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第三章 騎士編
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Ep:86 空間

 アオイの反応を見て、僕は改めて剣聖様がそう呼ばれる理由を思い知った。


「…何なんだ…人間なのか…?化け物じみている…」


アオイは、左目を隠す前髪を左手で掻き上げて呟く。それは、僕に微かに聞こえた程度の声量で、少し離れた剣聖様には聞こえない大きさの声。


「アカネ君、少しカタナを借りても良いかな?」


「え?あ、どうぞ」


そう言ってアカネは、腰に紐で括り付けた刀を鞘ごと取り、剣聖様に渡す。


「確か…こうだったかな?」


剣聖様は呟きながらカタナを抜き、それを構えて見せる。その構えは、誰が見ても完璧だと分かる程に、美しさすら感じるものだった。


「なっ…!?剣聖様は刀の経験があるのですか!?」


「いや、始めて見たさ。アカネ君はカタナの先ばかり見ている。しかも、カタナの先がぶれている。それを目で追ってばかりでは、敵の事を見る事が出来ない。添える右手にあとほんの少し力を入れれば、先がぶれずに敵を見る事が出来る様になる筈だ」


「ぜ、善処します…!」


アカネは剣聖様からカタナを受け取り、それに視線を落とす。そして暫くの間、呆然と立ち尽くしていた。


「そう言えば、さっきからダギル君の姿が見えないのだが…?」


「大尉ならさっきの手合わせを見て、自分はまだ剣聖様に教えを乞うべきでは無いとか言ってどっか行きましたよ」


エルが、剣聖様の質問に答える。


「そうか…なら、君達に稽古をつけよう。ライト君、エル君、木剣を構えたまえ」


僕はエルの隣に立ち、木剣を構える。


「ふむ…やはり悪くは無い。物覚えが良いのが顕著に出ている。あと一つ言うとすれば、二人共、もう少し脇を締めた方が良い」


そう言うと剣聖様は木剣を構える僕の肘を掴み、抑え込む様に内側に締める。エルも同じ事を見て真似る。


「よし、様になっている。後は自分の力を使い熟せれば、大隊長クラスの強さの敵には後れを取らないだろう」


力…?僕は慌てて剣聖様を見上げる。


「ん?私の顔に何か付いているかな?」


「今言った、力って…?」


剣聖様は少しの間黙る。前もそうだった。この間が剣聖様の怪しさを倍増させていく。


「力、それがどうしたのだい?君達には腕力や魔力と言った力が無いのかい?」


「それは…あります…」


また見当違いな質問をしてしまった…僕は申し訳なさから目を合わせられない。


「気にする事は無い。誰にだって間違いはあるものだ。ほら、こっちを見て話すと良い」


その言葉に、僕は剣聖様の目を見る。細い瞼の奥に、紅く輝く瞳が見えた。


------------------------------------


 突然視界が真っ暗になる。これは…!魔王の空間…!?


『我ガ力ノ覚醒ヲ進メヨウ…』


「うぅッ…!」


また右眼が痛む…叙任式の時みたいに…!


「ちょっと…待って…!」


僕は右目を抑えながら、頭の中に響く声の主に言う。


「何で僕達が…魔王の力何か…!?」


『今ハマダ知ル必要ハ無イ…』


「ま、待て…!」


僕の言葉も虚しく、視界は元に戻った。

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