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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第三章 騎士編
84/310

Ep:84 汚物

「確かに魔力は感じられなかった…それなのに、団長や俺の元に一瞬で現れた」


ダギル大尉は呟く。


「…根本を考えろ…そもそも、魔力の使用が移動だけだと思うな…」


アオイはダギル大尉に言う。すると、エルが何かに気付いた。


「それって…魔力の補助無しであの驚異的な身体能力を発揮してたって事…!?」


「そういう事だ…属性付加も、身体強化も、魔力的な補助が全く無かった…」


「敵の実力は驚異的…」


僕は呟く。


「兎に角、報告感謝する。戻って良いぞ」


「は、はい。失礼しました」


報告をしに来た騎士は、そう言って部屋を出て行った。


「俺達も強くなる必要があるようだな…まずは戦力の整理をしよう。俺の武器は剣、雷属性の魔力が使える」


「僕も剣で、例の魔王の力を使える。魔力は…僕もエルも分からない…」


「私はライトと同じ」


「私は刀を使います。東方では魔力と言う概念は無かったので分からないのですが、暁刀流(あかつきのとうりゅう)と言う剣術の流派に近いものが使えます」


「…刀、宵刀流(よいのとうりゅう)…」


「カタナって言うのは、その剣の事か?」


「はい。特徴としては、湾曲していて片刃だという事が第一に挙げられます」


「分かった…各々に訓練を命じたいところだが…この状況だ、そうも行かない…次いつ襲撃が来るか分からないからな」


ダギル大尉はそう言う。


「そうとも限らないんじゃないかい?」


突然、部屋の入り口の方から声がする。アオイは、咄嗟にカタナに手を掛けていた。


「そんなに警戒しないでもらいたい。ちゃんと許可を取って入っているし、ノックしても返事が無かったから入って来ただけさ」


そう言うのは、濃紺の髪に、特徴的な細い目をした男の人。


「剣聖様!?」


僕とエル、そしてダギル大尉は驚き、同時に声を上げる。


「やあ、まずは昇進おめでとう、ライト君、エル君、ダギル君、アカネ君、アオイ君」


「何故名を…!」


アオイは更に警戒心を高める。いつの間にか、カタナが少し引き出されている。


「止めろアオイ。聞いた事無いのか?この御方はあの剣聖様だぞ」


「知らん…!」


「ちょ、ちょっと止めてよ…!」


アカネは、アオイの刀を無理矢理仕舞わせる。それに、アオイは小さく舌打ちをした。


「…その剣聖様が何の御用だ…?」


「何、大した事じゃないさ。君達に稽古をつけてあげようと思ってね」


「え…?」


アカネとアオイを除いた僕達三人は、一瞬理解が追い付かず、間の抜けた声を出す。


「いやいやいや!そんな滅相も無い!」


「遠慮は要らないさ。言っただろう?気軽に接してくれと」


「ですが…!――」


「好都合だ…時間がない、早く始めるぞ…」


アオイはそう言うと、部屋を出て行く。


「あ、ちょっと…!」


アカネが直ぐに追いかけ、僕達も部屋を出る。


「えぇ…どっちに行ったの…?」


アカネは直ぐに部屋を出たのだが、アオイの姿を見失う。


「どうせ訓練場だろう。放っておいて俺達も向かうぞ」


ダギル大尉の言葉で、僕達は訓練場へ向かった。


------------------------------------


 トイフェルは部屋の前で待ち、ライト達の姿が見えなくなったところで呟く。


「もう出て来ても良いよ」


それを合図に、アオイが天井から降りて来る。


「そうまでして言いたい事って、何かな?」


「その目…気に入らないな…」


アオイは呟く。その言葉に、トイフェルは微笑む様な表情を変える事は無かった。しかし、その目は笑っていない様に見える。


「そっちこそそんな目をして…少なくとも、年上を見る目じゃないよねぇ…?」


アオイは表情変えないどころか、更に睨みを強くする。


「まるで、()()でも見る様な目だ…」


「剣聖様、どうしたんですか?」


トイフェルが言った所に、エルが戻って来る。更にその後ろからアカネが来る。


「アオイ!?どうなってるの…?」


「何でも無いよ。さぁ、行こうか」


そう言ってトイフェル達はライトとダギルの待っている方へと向かった。

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