Ep:80 銀鷲
ダギル中尉やアカネとアオイと別れて少し時間が経った。団長を探して本部を走り回っていた。
「うわあぁぁ!!」
「まただ…!」
廊下の先で悲鳴が聞こえた。団長を探している間に、Istと二回遭遇した。これで三回目。急いで走って向かうと、既にアカネとアオイが戦っていた。
「IInd…!」
「第一段階」
僕は首の痣を足まで延ばして肉薄する。切り上げて、それを防ごうとした男の剣を弾き飛ばす。
「くっ…!」
「暁刀流、暁光の閃!」
アカネが走り、男の横を通り過ぎながらその首を刈り取る。
「団長様は見つかりましたか!?」
アカネは剣の血を振り払い鞘に納めながら言う。
「まだ見つかってない…!後探してないのは三階だけ――」
バンッ!!
突然、真上から大きな音が聞こえる。
「この上は…!?」
アオイが聞いてくる。
「確か資料室だよ!」
「急ぐぞ…!」
僕達は急いで階段を上った。上の階に上り、最上階の三階に着く。
「ガァッ…!」
他の仲間の苦悶の声が聞こえた。声のした方を見ると、資料室の前で仲間が一人倒れた。心臓を貫かれて死んでいた。資料室の扉は壊されていて、中から剣と剣のぶつかり合う音が聞こえる。
「団長!!」
僕はそう叫びながら資料室の中に入る。中は、扉のある壁に垂直に並べられている右側の本棚が倒れ、連続して崩れている。その先で、団長とくすんだ赤茶色のフードの女が戦っていた。
「ライト!下がっていろ!」
その言葉に僕は勿論、エルも、アカネとアオイも驚く。
「此奴の目的は私だ!今はまだお前達は襲われない!だから行け!!」
「でも!」
「早くしろ!」
団長はそう言いながら女と剣を交える。
「ライト!エル!そして一色!お前達は他の奴らを倒せ!この本部を守るんだ!これは団長命令だ!!」
団長はそう言って渾身の突きを繰り出す。しかし、それは容易く躱され、女の剣の餌食になる。
「がッ…!」
団長は口の端から血を垂らし、剣の刺さった脇腹を抑えて後退る。
「ぁ…あ…!」
エルが後ろで後退る。
「お前達…!私も…直ぐに後を追う…!」
「行くぞ…他の襲撃者を倒す…それが団長の最後の望みだ…」
アオイが言う。僕は、助からないと分かった団長の姿を目に焼き付けて、団長の命令を果たす為に走った。
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女の剣に腹部を貫かれ、血を流すアードラーは言う。
「さぁ…これで邪魔者は居なくなった…最後に足掻かせてもらう…!」
そう言ってアードラーは女の腕を掴む。そして、引っ張る様に後退った。その背後には窓がある。
「興覚めだ…」
女はアードラーの行動を読み、その腹部から剣を引き抜く。そしてそのまま突き放した。
「がッ…!」
アードラーは剣を落とし、腹部を抑えて後退る。
「さらばだ、アードラー」
そう言って女はその剣の柄で、アードラーの胸を押した。アードラーは窓の鍵を壊し、押し開けられた窓から落ちて行く。その時、アードラーの手が、女のフードを取った。
「貴女…は…」
女の顔を見たアードラーは、そう呟いた。最後の力を使い発動させた風魔法で落下の速度を緩める。しかし、底を突いていた体力では制御しきれず一瞬で解除され、落ちて行った。




