Ep:75 秘密
「ヴェルイン?あのクレイ家の…?」
「うん…ヴェルインさんが死に際に、魔王って言ってた気がするんだ…あの時はよく聞き取れなかったけど、確かにそう言ってた…」
僕は顎に手を当てて言う。
「なら、その古文書がこいつらと関係がある事が確定したな…」
「あぁ、これが本題の一つ目だ。二つ目は、一昨日の夜、王立リッター騎士養成学園周辺でお前達が見たという男と特徴と該当する者が目撃された。だが…」
「だが…?」
「済まない、取り逃がした…何をしていたかも分からなかった…」
団長は執務机に着くんじゃないかという程頭を下げる。
「…!頭を上げて下さい!」
「そうですよ!団長様の所為じゃありません!」
僕とエルは驚いて言う。
「そもそも、何で僕達の為にそこまで動いてくれるんですか…?」
「ダギルにも言ったが、全てお前達の為と言う訳では無い…」
ダギル中尉のあの言葉は、団長の受け売りだったんだ…
「だが、何故かと言われれば答えは一つ。陛下が直々にお前達の事を気に掛けていたからだ」
団長以外のこの場に居た全員が驚く。勿論アカネとアオイの姉弟も。
「陛下が!?それはどういう…!?」
ダギル中尉が団長に聞く。
「先に謝っておく、黙っていて済まなかった。本当はお前が始めて本部に来た時から、お前の力の事を知っていた。だからあの時手合わせをしたのだ。力の制御ができているかどうかを確認するために…」
「じゃ、じゃあ!ライトの力の正体も知ってるんですか!?」
エルはダギル中尉を挿んだ反対側で団長に聞く。
「いや、あの時陛下に言われたのは、お前達の力が脅威になりかねない。制御できなければ治安維持を主とする銀鷲の脅威になりうる、と…だからその力の正体は知らない…だがこの様子だと、陛下が…ファイント国王が敵と言う事に――」
「あの!さっきから何の話をしてるんですか!?私達にはさっぱりなんですけど…!」
「止めろ姉貴…国王が関わっている以上、異国の俺達が関わって良い事では無い…!」
「でも…!」
アカネとアオイが言う。
「いや、異国の人間だろうがお前達は既に銀鷲騎士団の一員であり、そして第5小隊の一員だ。この場に居る以上、この件に関わる義務がある…!」
「……分かりました…!」
アオイが言った。
「この事を知っているのは現状、私とここに居るお前達。そして、黄金獅子騎士団団長、レオン=ゴルトだけだ。絶対に誰にも漏らすな。例えそれが陛下でも…!」
「はッ!」
この場に居る全員が、団長に向けて敬礼をした。




