Ep:73 合流
今回からライト目線に戻ります。
「な、何故…この様な事を…」
毒の苦しみからある程度解放され起き上がったヘルツは、ヘルツ自身に毒を持った本人、トイフェルに問う。
「ヴィルの街で彼らと接触した時、紅茶を一口も飲まなかった。睡眠薬の入った紅茶をだ。それが偶然なのか、必然なのかを実験しようと思ったのだが、主従関係がある以上、意味の無い事だったな」
「そ、そうですか…」
ヘルツは立ち上がり、月明かりの入って来る窓の前に立ち言った。
「我が主、勘違いしないで頂きたい。私は主従に関係無くあれを口にしました」
「そうか。そうなると、彼らが自ら…否、本能的にあの紅茶を回避したのかも知れない…」
「……」
ヘルツは何も言わず、窓の外へと飛び降りた。
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僕とエル、ダギル中尉は、早馬の馬車に乗り、王都へと急いでいた。今日は、僕達がヴィルの街に着任してから一ヶ月半。もしかしたらもうヴィルの街へは戻れないかも知れない。それくらい急を要する呼び出しだった。
「おい、もうすぐ日の出だぞ」
ダギル中尉が言う。小窓の外を見ると、平原の地平線が明るく輝いていた。暫く見ていると、太陽がその姿を現す。僕達は深夜に街を出て、既に二時間程馬車に揺られていた。
「この調子なら昼過ぎには王都に着くな…」
ダギル中尉は呟き、腕を組んで目を瞑り俯く。仮眠を取るのだろうか。急な呼び出しに対応できるように準備はしていたけど、ここまで早く呼び出されるとは思わなかった。僕達は朝焼けに染まる空の下、王都へと急いだ。
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時は流れ、予定より少し遅れて王都に着く。銀鷲騎士団の本部の前に着くと、同じ銀鷲騎士団の紋章の入った鎧を付けた騎士が二人待っていた。だけど、その鎧は見た事の無い形をしていた。
「銀鷲騎士団、第5小隊小隊長のダギルだ。こいつらはライトとエル。どちらも二等兵だ」
ダギル中尉が待っていた二人に言う。
「遅い…!」
待っていた騎士一人目。薄紫色の髪を首まで伸ばした少年。前髪に左目が隠れている。見た事の無い鎧は、銀の装甲が層になった様な形をしている。その装甲を両肩に、紋章の入ったプレートアーマーを胸に着けている。
「ちょっと!急がないといけないんだから、いがみ合ってる暇は無いの!」
待っていた騎士二人目。薔薇の様な赤い髪を後ろで結んだ少女。鎧は軽装で、男と同じプレートアーマーを身に着けているだけ。因みにどちらも歳はブルートさんと同じくらいに見える。
「……一色 葵だ…」
少年の方は、不貞腐れた様にアオイと名乗る。
「同じく茜です。東方からこの地にやってきました。私も葵も一等兵です!」
「了解した。早速だが、団長と話がしたい」
「勿論です。その為に私達が居るんですから」
「着いて来い…」
そう言ってアオイは建物へと振り返る。
「ちょっと!上官に向かってそれは無いでしょ!ダギル中尉が良い人だったから良かったものの…!」
そう言ってアカネはアオイを説教しながら歩く。
「失礼。家名が同じ様だが、兄弟なのか?」
「はい。私が姉で、葵が弟です」
「そうか」
少し雑談を交わし、僕達は本部の建物に入って行った。




