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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第三章 騎士編
68/310

Ep:68 英雄

 次の日、ある程度の調査を終えた僕とエルは、剣聖様の泊まっている宿屋に向かった。


「剣聖様、良い人だよね。私達にも優しくしてくれて」


「そうだね。それなのに、ダギル中尉が恐れおののくくらい凄い人なんだよね」


「あの人達も一瞬で切られちゃったもんね…」


「うん…それに、あの二人、僕達の事を()()()()って言ってたよね…」


「今までのと何か関係があるのかな…?」


考え、話しながら歩いていると、いつの間にか目的の宿屋の前に着いていた。中に入って、剣聖様の泊っている部屋を聞き、その部屋の前に行く。


「剣聖様。いらっしゃいますか?」


僕は扉をノックして聞く。中で物音がして、少しして扉が開く。


「あぁ、君達か。どうぞ、入って」


「お邪魔します」


僕とエルは剣聖様の部屋に入る。剣聖様に促されるままに椅子に座る。


「飲み物は紅茶で良いかな?」


「はい」


剣聖様が紅茶を入れてくれている間に、僕とエルは部屋を見回す。


「剣聖様程の御方が、普通の宿屋にお泊りになられてるんですね」


「あぁ。私は少しばかり剣の腕があり、ちょっとした宗教の教祖をしているだけの一般人だからね」


謙遜なのか自虐なのかよく分からない口調で言う。剣聖様は紅茶の入った器を一つずつ僕とエルの前に置いて、自分の分も取って来る。そして、座りながら言った。


「それで、用件は何かな?」


「昨日の件で念の為の報告に来ました」


「報告…?私はこの街に宿泊している一般人だが…」


「それでも事件に関わり、尚且つ剣聖様ですから」


「まぁ、確かに事件には関わったか…それで、どうだった?」


「あの二人組の男は、あの屋敷跡で何かを探していたようです。所々物が動いた跡があったり、焼けた木材が折れている所があったからです。ですが、何を探して居たかまでは分かりませんでした」


僕は目の前の剣聖様に、さっきまで行っていた調査で分かった事を伝える。


「やはりか…」


「何か知っているんですか…?」


剣聖様の呟きに、エルが問い返す。


「いや、あれ程焼けていたら、何を探しているかも分かるまいと思ってね。単なる独り言だよ」


「そうですか。分かった事は本当にこれだけです。ですが、僕から一つ聞きたい事があります」


「何かな?答えられる事であれば答えるよ」


「あの時、正確には僕達を助けてくれた時です。何で新人騎士だと分かったんですか?」


「……」


剣聖様は黙る。少しの沈黙の後、剣聖様は口を開いた。


「単純な事さ。私はここに来る前に、王都で叙任式も見ている。少しばかり覚えるのが得意でね。君達みたいな目立つ子が居れば、自然と記憶に残ってしまったんだよ」


「……そうですか…申し訳ありません。剣聖様は英雄教の教祖様でもあるので、少し疑ってしまいました」


「疑い…?それはどういう事なんだい…?」


僕とエルは協力して、今までの事を剣聖様に話した。剣聖様は、僕達の言葉を真剣に聞いてくれた。


「そんな事が…私の宗教を信仰する教徒がそんな事をしているかも知れないなんて…君達が疑うのも無理はない」


剣聖様は眉間に皺を寄せながら言う。


「しかし、君達の記憶力は大したものだ。大きな出来事が続いていたとは言え、あそこまで詳細に覚えているなんて。まるで、古の英雄様の様だ」


「英雄様…?」


エルが聞き返す。


「あぁ、古の英雄様は記憶力が良かったのだ。その記憶力は子孫代々受け継がれるもので、何を隠そう私も英雄様の子孫にあたる人間だ。だが、もしかすると君達の方が英雄様の血を色濃く受け継いだ子孫なのかもしれないね」


「そうなんですか…!」


「私達が、英雄様の子孫…!?」


「あくまで可能性だけどね」


そう言って、剣聖様は紅茶を一口飲んだ。

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