Ep:60 進行
王様の言葉はまだ続く。
「ほんの一握りの者達に与えられる称号――それが騎士である。そなたらはその一握りに選ばれたのだ。努力して選ばれた者も然り、中には望まぬままこの場に居る者もいる事だろう」
王様は僕達騎士候補を見回す。
「しかし、そなたらの決意は本物だ。これからも我が国の為に、助力願いたい」
王様は観客の方に振り返って腰の剣を抜き掲げた。
「さあ!これより彼らの叙任を始めよう!」
「畏まりました」
司会の人が王様に恭しく頭を下げて祭壇に戻り、式典の進行を進める。
「これより各騎士団名と姓名を読み上げる。呼ばれた者から登壇せよ」
最初に呼ばれたのは近衛騎士団の碧竜騎士団。呼ばれる人達は、ブルートさんと同じくらいの歳なのに落ち着きのある人ばかり。それに、一人呼ばれたと思ったら、今度は集団で呼ばれて叙任を受ける。
叙任の方法は、王様が壇上で跪いた人の前に立ち、剣の側面で肩を叩きながら激励の言葉を送る。
「これよりそなたは騎士に任命された。覚悟して掛かれ!」
「はッ!」
そんな声が何度も聞こえて来る。それを見て、自分の番になっても大丈夫なように覚える。大体は壇上に上がって、王様の前で跪けば良い。
「黄金獅子騎士団、ブルート=フランメ」
黄金獅子騎士団…?ブルート…?もしかして…
「やっぱりだ…」
僕は思わず呟く。赤黒い髪にあの制服。間違いない、ブルートさんだ。
「ねぇ、フランメって…?」
エルが僕に聞いて来る。
「多分ブルートさんの家名だと思う…でも、聞いた事なかったな…」
僕は叙任を受けるブルートさんを見ながら言う。王様は他の人と同じ言葉をブルートさんに掛ける。そしてブルートさんは反対側の舞台袖に帰って行った。
「続いて、銀鷲騎士団」
ブルートさんを最後に、銀鷲騎士団の人が呼ばれる。何十人も呼ばれて、僕とエルの後ろの半分程が居なくなった。
「銀鷲騎士団、ライト、エル」
遂に呼ばれ、緊張しながら立ち上がる。僕がエルの前に立ち、祭壇に向かう。恥を晒す訳にはいかない。しっかりと登壇し、王様の前に跪く。すると、王様は小声で呟いた。僕達以外には聞こえないくらいの声で。
「そなたらの貢献には感謝している。例えその力が何であれ、正義の為に行使するのであれば、我は何も言うまい」
僕は一瞬驚いた。思わず声に出しそうだった。王様は、僕達の力の事を知っている…?それとも、本当にその眼で見透かされたのか…?
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『我ガ力ノ覚醒ヲ、進メヨウ…』
突然視界が真っ暗になって、頭の中に声が響く。違う…視界が暗くなったんじゃない。真っ暗な空間に居る…?あの時みたいに――
「ぐッ…!?」
苦しい…!目が…右眼が痛い…!
『ムゥ…マダコノ身体デハ足リナイカ…』
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視界が元に戻る。跪いている僕の視界には、祭壇の床が映る。時間は全く進んでいない。なのに汗が大量に…目だけで横を見ると、エルも汗を掻いている。
僕の肩に剣の側面が押し当てられる。さっきのは何だったんだ…?右眼に違和感は無い。でも、何かを感じる…
「これよりそなたは騎士に任命された。覚悟して掛かれ!」
「は、はッ…!」




