Ep:50 処理
曇天の下、ゴブリンロードが討伐された現場から離れ行く者が居た。誰も居ない大通りに沿った裏道を二人の人影が歩く。
「話には聞いていたが、まさか本当に空気圧だけで斬撃を飛ばすとは…私ですら見逃す程の斬撃…」
濃紺の髪の男が一歩後ろを歩くフードの女に言う。
「我々が想定していたよりも、魔王の力の覚醒が速い様です…」
「実質的な魔力の覚醒はまだだけど、物理的な破壊力は大抵の魔物よりは上だ。やはり人間を用いた方が効率的なのか…?」
「同感で御座います。No.sを送り込むのであれば、Istからでしょうか…?」
フードの女は、男の顔色を窺うような声色で提案する。
「いや、送り込むのはIIIrd以上だ。本来ならIVthすらも使いたく無いんだが…」
「しかし、あの少年の力に勝てるでしょうか…?戦いを重ねれば重ねる程強くなるのは明白です…いずれはXth――いえ、我らの力すら要する事になりかねません…」
「問題は無い。最悪の場合は――」
男は一瞬黙る。
「私が直々に…」
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僕達はゴブリンロードを倒した後、学校や周りの家の清掃や、死体の処理、所謂事後処理に勤しんでいた。
「ったく、只でさえ戦闘で疲れてるっつうのに、死体を運ぶ力仕事なんてよ…よく真面目にやってられるな」
ブルートさんは僕の隣でゴブリンの死体を引きずっている。
「仕方ないよ。巻き込まれたのは僕達だし、騎士になる為の雑用だと思えばさ」
その時、ゴブリンの死体を後ろ歩きで引きずっている僕の後ろ、つまり進行方向の先から声が聞こえた。
「あっ!ライト!ブルート!」
振り返ると視線の先に、僕と似たような容姿の髪の長い女の子、エルが居た。
「エル!無事だったんだね!」
僕は急いでエルの元に駆け寄る。ゴブリンの体がガツガツと飛び跳ねる。そしてそれを死体の山に積み上げると、エルの話を聞く。
「ライト達が行っちゃった後、黄金獅子…?騎士団の人が全部のゴブリンをほん数十秒で倒しちゃったの」
エルが言ってるのは多分、黄金獅子騎士団の団長の事だと思う。他の騎士の人達も強かったけど、ゴブリンを一匹ずつ倒してたから。
「流石は団長だな。あの魔力弾もあっさりと受け止めちまったし」
後ろから追い付いて来たブルートさんも団長の事を言ってる事に気付いていた。
「軍事力じゃ黄金獅子が一番だって言う噂もあるからな」
ブルートさんはゴブリンの死体を、死体の山に放り投げる。
「これで大体のゴブリンは片付いたな。後は他の奴らに任せようぜ」
「うん」
僕達は一足先に寮に戻る。ゴブリンロードの死体は騎士の人が回収して、王宮に送られるって聞いた。珍しいロードだから、研究の材料になるって事で。
「私お腹空いた」
「だよな。結局もう昼は過ぎてるぜ」
「じゃあ食堂に行こう!」
僕達は他愛のない雑談を交わして、食堂に向かう。この時の僕はまだ知らなかった。これから王宮に呼び出される事を…




