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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第一章 少年編
32/310

Ep:32 勝負

 着替えた後、僕は朝ご飯を食べて執事の人と一緒に部屋に戻ろうと玄関の前を通っていた。


「待て」


突然声を掛けられる。声のした階段の方を見ると、そこには茶色の髪の女の人が居た。


「御戻りになられましたか、アードラー様」


執事の人が僕の後ろでお辞儀をする。


「その名で呼ぶなと言っているだろう…?私の事はスィルヴァと呼べ」


「申し訳御座いません…」


「誰?」


僕は聞く。


「私は銀鷲騎士団初代団長、アードラー=スィルヴァだ。貴様がライトだな…?」


アードラーさん――いや、スィルヴァさんは、眉をひそめながら言う。


「は、はい…」


「貴様が陛下の認めた者…一度手合わせ願いたい」


「え…?手合わせって…?」


「騎士として、一対一の勝負を申し出ているのだ」


勝負…何で急に…?


「アー――スィルヴァ様。流石にそれは如何かと…」


「責任は私が取る。問題あるか?それとも、何か不味い事でもあるのか?」


別に疚しい事は無い。だったら――


「わ、分かりました。やります…!」


「それでこそ騎士になる者だ」


------------------------------------


 僕とスィルヴァさんは、銀鷲騎士団本部の敷地内にある訓練場に来た。周りには他の銀鷲騎士団の騎士達が集まってきている。


「ルールは単純。先に木剣を相手の体に触れさせた方の勝利だ」


そう言ってスィルヴァさんは木剣を構える。僕もそれに合わせて木剣を構えた。


「(構えは整っている、か…)」


「始めッ!」


騎士の人の掛け声で僕は踏み込む。そして肉薄する。木剣と木剣がぶつかり合う。でも、スィルヴァさんは一歩も動かない所か、びくともしない。


「その程度か?」


カンッ!


鍔迫り合いの木剣が弾き飛ばされる。靴底を地面に擦りながら僕は止まる。そしてまた跳び、間合いを詰める。木剣を振り、その度に手に衝撃が伝わって来る。


「やはりその程度か。残念だ」


そう言ってスィルヴァさんは木剣を縦に振る。それは僕の木剣に当たり、僕は弾き飛ばされる。そして、僕の背後に一瞬で移動したスィルヴァさんは、僕の背に向けて木剣を振った。


カァンッ!


「何…!?」


その瞬間、スィルヴァさんは吹き飛ばされる。訓練場の壁に激突して、崩れ落ちる。何が起きたかと言うと、僕は一瞬で痣を右腕に移動させて振られた木剣を防ぎ、それを振り上げる事でスィルヴァさんを弾き飛ばした。スィルヴァさんは立ち上がりながら言う。


「成程…流石は陛下の認めた人間という訳か…だが、まだ終わってはいないぞ!」


そう言ってスィルヴァさんは僕の眼前まで肉薄して来た。


------------------------------------


 スィルヴァさんとの勝負は、結局僕が負けた。連撃に耐え切れずに木剣に当たった。


 それからはスィルヴァさんは見てない。結局、スィルヴァさんには会わずに、僕は残りの日数を過ごした。

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