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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第一章 少年編
30/310

Ep:30 屋敷 *

 僕達は大きな屋敷の前に着いた。馬車から覗く屋敷は、クレイ家の屋敷なんか比じゃない程の大豪邸。


「うわぁ……!」


 僕とエルは思わず声を漏らす。


 大きな鉄柵の門を支える門柱の上には、大きな鷲の石像があった。


「ここが銀鷲騎士団の本部、及び騎士達の寮だ」


「大きい……」


「まぁな。それでも、王宮と比べれば三分の一程度の広さなんだがな」


 門が音を立てて開き、鉄柵の奥の建物がしっかりと見える様になる。


「入るぞ」


 四人乗りの馬車がその敷地内に入って行く。


 王都?の道も綺麗に舗装された石畳だったけど、それが建物の前まで続いている。


 石畳の道の真ん中には左右に噴水があり、その周りを避ける様に道が続き生け垣が囲っている。


 地下牢に居た時には全く想像しなかった屋敷が、今は目の前にある。


「降りろ」


 ダギルさんが馬車の扉を開けて言う。


 馬車の窓と言う限られた範囲から見ていた建物は、視界を全部埋め尽くす程の大きさを誇っていた。


 僕達が屋敷の扉の前に立つと同時に重厚な木の扉が開く。その奥には、黒い燕尾服(えんびふく)を身に着けた執事と、黒いスカートに白いエプロンを身に着けた使用人が数人ずつ待って居た。


「お待ちしておりました。陛下の使いの者から事情は聞いております。どうぞ、お上がり下さい」


 そう言って執事たちは大仰にお辞儀をする。


「ほら、上がれ」


 ダギルさんに押されるように、僕達は建物の中に入って行く。


 白を基調とした壁。床にはクレイ家の屋敷とは反対の豪華な青い絨毯が敷かれていた。


「こちらがライト様のお部屋。その隣がエル様のお部屋となっております。お召し物をご用意しますので、お部屋でお待ち下さい」


 僕は言われるがままに部屋に入って行く。


「広い……!」


 想像よりもうんと大きい部屋だった。


 部屋の真ん中には、僕だけじゃ足りないくらいの大きな机があり、更にその奥に僕の体の三倍程のベッドがある。


 部屋の全てが綺麗に整えられていた。


「ここで一週間……?」


「そうだ。ここで一週間過ごす」


 僕は後ろに居たダギルさんに不安の視線を送る。


「何だ、(しょう)に合わないってか? 大丈夫だ、俺だって最初はそう感じたからな。それに、そんなに厳しい所じゃない。いつも通りしてれば良いんだよ」


 そう言ってダギルさんは部屋を出て行った。僕だけが部屋に残される。


「ってか俺、まるで保護者みたいだな……」


 部屋の外から、そんな声が聞こえて来た。

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