Ep:29 騎士 *
王様が口を開く。
「さて……必然的に残される事にはなったのだが丁度良い。ライト、エル。そなたらに提案がある」
「提案……?」
エルが呟く。
「あぁ、そうだ。特にライト。そなたは我が父が発足させた銀鷲騎士団の騎士を救ったと聞く。それを讃えて勲功爵の称号を与える」
「なっ……!? 宜しいんですか、陛下!?」
ガベルさんが驚いて言う。でも僕達には何が何だか……。
「と、言いたいところだが、そなたらもまだ若い。それに、騎士一人を救ったのみでの勲功爵の称号は、あまりにも贔屓が過ぎる。よって、今回のそなたらの処遇は、騎士養成学校への入学とする」
僕達の後ろに居た騎士の人達が驚きの声を上げる。
「騎士養成学校……?」
僕は呟く。
「騎士養成学校とはその名の通り、騎士を育てる学校の事だ。ここに居る銀鷲騎士団の者達もかつてはそこで学んでいる。剣術は勿論、純粋な常識や魔法についても学べる。寮を使えば安定した生活も保障される。特例で我が国が費用を全額支払う事とする」
安定した生活が送れる。その言葉だけで、僕とエルが意思を決めるのには十分だった。
「行きます!」
僕とエルは、声を揃えて答えた。
「良かろう! では、入学の手配をする。恐らく一週間程後には行ける様になるだろう。それまでは、銀鷲騎士団に世話になると良い」
「はっ!」
僕の後ろの騎士の人達が、異口同音に言った。
僕達は、これから一週間を過ごす銀鷲騎士団の本部に向かう。
「それにしても、まさか国王陛下直々に騎士養成学校への入学を命じられるとはな。俺の部下を一人助けたくらいで」
ダギルさんは、少し嫌味を込めた言い方をする。
「まぁ、今回は特例だ。それに、一週間も我が騎士団の本部で過ごせるなんて一般人ではあり得ないからな。陛下の御厚意に感謝するんだな」
そう言いながら、ダギルさんは僕達の乗る馬車の準備を始める。それは、ここに来るまでに乗って来た隔離用の物じゃ無い。純粋な移動用の馬車。
「もうお前達の嫌疑は晴れたからな。同じ馬車で本部に向かう。良いな?」
僕とエルは同時に頷く。馬車に乗り、銀鷲騎士団の本部に向かった。




