Ep:27 裁判 *
もう一度椅子に座ってから王様は言った。
「先ずは名を聞こう」
王様は僕とエルに向かって言う。
「え……?」
エルが呟く。
「念の為の確認だ。無論、こちらも名前は知っているが」
「ら、ライト……」
「エル……」
「うむ、ライト、エル。間違いは無いな。これからはそう呼ばせてもらう。先ずは銀鷲騎士団、詳しい報告を頼む」
「はっ!」
敬礼をしたダギルさんが、書類を見ながら珍しく丁寧な口調で言う。
「一週間前、クレイ家の屋敷が何者かによって火を放たれました。逃げて来た使用人や兵士に話を聞いたところ、その少し前、この少年ライトと、クレイ家の御子息で在られるヴェルイン=クレイ卿が屋敷に乗り込んできたとの事です」
「ほう?」
「ヴェルイン卿は、その数日前にクレイ家を追放されていました。理由は、ヴェルイン卿が何かしらの悪事を企んでいたそうです。そして、彼とヴェルイン卿が乗り込んで来てから数十分後屋敷に火が放たれました。その後、屋敷の二階から彼とこの少女、エルが窓を突き破って飛び降りて来ました」
「それは事実か?」
僕とエルは同時に頷く。
「宜しい、続けよ」
「その後、懸命な消火活動によって鎮火されました。我々銀鷲騎士団が調査したところ、中からは身元不明の遺体が一体、発見されました」
多分ヴェルインさんだ……あのまま焼かれちゃったのか……。
「そして、魔力の痕跡を調べたところ、ヴェルイン卿と彼の魔力は発見できたものの、クレイ家の正式な後継ぎで在られるリテユス伯爵の魔力が発見できませんでした。よって、遺体はリテユス伯爵のものでは無いかと我々は仮定しています」
「ふむ……ライトよ、これについて何か付け足す事はあるか」
「屋敷で焼かれていた遺体は、リテユス――伯爵の物じゃ無い。多分ヴェルインさんのもの……」
「そうか。他には」
「屋敷の地下には広い空間があって、そこにエルが捕まってた」
僕の言葉に、そこに居た全員がざわつく。
「静粛に。それは本当か?」
僕は頷く。
「銀鷲騎士団よ、地下への入り口は見つかっていないのか?」
「はい、その様な事は……」
「その地下へは、どうやって行ったのだ」
「小さな部屋の床が、下りたり上ったりできる床だった」
「ふむ……魔力式の昇降装置か……」
「ヴェルインさんは僕とエルが駆け付けた時にはもう誰かに刺されてて、火もその時にはもう付いてた。ダギルさん、ペンダント貸して」
「ペンダント? あぁ、お前が持っていたあれか。持って来い」
ダギルさんの命令で、後ろの騎士の一人がペンダントを取りに行く。帰って来たその手には、僕がヴェルインさんに貰ったペンダントがあった。
「そのレリーフは……! 英雄教のものでは無いか……!?」
王様は、驚いた様に目を見開いて言った。




