Ep:26 王都 *
馬車は半日程走るとどこかで停まった。
門の開く音がしてまた馬車は走り出す。
また暫く走って停まった。
「着いたみたいだな……」
隣に座っている騎士が言う。
甲冑の擦れる音が馬車の横を通って騎士が扉の鍵を開ける。
「出ろ」
僕は手枷をしたまま降りる。
「うわぁ……」
あまりの光景に言葉を失ってしまった。
だってそこには、豪華な装飾が各所に施された大きな建物があったから……。
「ここが国王陛下の居られる王宮だ」
僕の後ろに立っていた騎士が言う。
「我が国の貴族制度は、男爵、伯爵、公爵の三種類だ。男爵が一番地位が低く、公爵が一番地位が高い。勿論、国王陛下を除くが」
騎士の人を聞きながら、僕達はお城の中へと入って行った。
中は白い石でできた柱や床に金色の装飾が施されていて、床には綺麗な赤い絨毯が敷かれている。
周りには沢山の人が居た。皆豪華な服を着ている。
正面の数段高くなった場所に、大きくて豪華な装飾の金色の椅子があった。
そこには一際貫禄のある若い人が座っている。
「良くぞ来た、銀鷲騎士団の者達よ」
豪華な椅子に座っている銀色の長い髪の男の人が言う。
その紫色の瞳は、下に居る僕達の心の奥底までをも見透かしそうな程透き通っていた。
ダギルさんを始めとした騎士の人達は、その人に向かって片方の膝を着いて頭を下げる。
「なっ……!? お、お前らも跪け……!」
ダギルさんが僕に向かって囁いて来る。小さな声だったけど、それを聞いた男の人が口を開く。
「良い。あまり知識が深くないのだ。そなたらも顔を上げよ」
そう言いながら男の人は立ち上がり、騎士の人達も立ち上がった。
「これより、クレイ家の放火について、裁判を始める。良いな?」
「はっ!」
騎士の人達は真っ直ぐに立ち、同時に声を上げる。
「裁判人に銀鷲騎士団から九名。それをまとめる者としてこちらから裁判長を用意する。今回は彼だ」
そう言って男の人は、豪華な椅子から少し離れた場所に居る黒髪に黒い服の男の人を指さした。
「ガベル=トライアだ」
黒い服の男の人が名乗る。
「彼は若いが優秀だ。そして、我こそが! このストゥール王国を統括する王、ファイント=ケーニヒである!」
ファイントと名乗った男の人は、大声で言った。
「これより、公平な裁判を開始する!」




