Ep:20 脱出 *
僕はペンダントのレリーフを見ながらヴェルインさんの言葉を聞く。
「そのレリーフは、ある教団の、物だ……その教団が、お前らの事を狙っている……」
段々と小さくなっていく声でヴェルインさんは僕に説明する。
「狙ってるってどういう事……!? リテユスに何か関係あるの!?」
僕はヴェルインさんを問い質す。
「教団から、支給されたそのペンダントには、何か、魔力的な作用が、あるかも知れない……例えば……ソイツの鎖に関して、とかのな……」
ヴェルインさんはそう言ってエルを指差す。
確かにエルの鎖が紫色の稲光の様なものを発した時、リテユスは何かを持っていた。
それが、このペンダントだったかも知れない……。
「教団は……お前らの中にある力を、狙っている……絶対にその力を、渡してはならない……」
ヴェルインさんは僕の胸倉を掴んで引き寄せて来る。
でもその力はとても弱々しい物だった……。
「いに、しえの……まお……を……」
うまく聞き取れなかった。僕はヴェルインさんに何と言ったのか聞き返す。
でも、返事は返って来なかった。
僕を掴む手の力がゆっくりと無くなり、重力に従って落ちた……。
「ヴェルインさん……? ヴェルインさん……! まだ話終わって無いよ……?!」
僕はヴェルインさんの骸に縋り付く。
エルが後ろで崩れ落ちるのが分かった。
僕が強くならないと、エルを守れない……。
「――行こう、エル……」
僕は立ち上がってエルに呟く。
「でも……」
「良いんだ……ヴェルインさんは僕達の為に最後の力を使ってくれた……だったら、その死は無駄に出来ない……!」
僕はヴェルインさんに背を向いて、燃え盛る廊下を見据える。
「分かった……」
エルがそう呟いて僕に付いて来る。
廊下に出ると炎は勢いを増していた。
更に、左右どちらの通路も倒れた柱で塞がれてしまっていた。
「どうしよう……」
エルが呟く。
「飛び降りる……」
「え……? でも怪我しちゃ――」
「掴まって……!」
僕はエルの手を引っ張って言う。
首の痣に意識を集中させて、脚に移動させた。
「行くよ!」
僕は窓を突き破って屋敷の二階から飛び降りた。
窓の割れる凄まじい音が聞こえて、僕は頬をガラスの破片で切る。
地面を窪ませながら、何とかエルを抱えての着地に成功した。
その瞬間、脚に移動した痣が首の位置に戻り、僕は吸い込まれるようにして倒れる。
「ライト! ライト!」
エルの声を微かに聞きながら、僕は意識を失った。




