Ep:19 伝言 *
「……ト……! ライト……!」
気付くと僕は、あの地下空間に倒れていた。
「うぅ……?」
「起きた!」
声のした方を見ると、そこにはエルが座っている。
「――エル……? エル!?」
僕は慌てて起き上がる。
エルが起きてる!
「良かった……」
エルが呟く。
「僕は何で……?」
真っ暗な空間に居て、頭の中に声が聞こえて……。
駄目だ……それからの記憶が全く無い……。
「私が起きたらあそこに倒れてたの……」
エルが指差す方を見て僕は目を見開いた。
そこには沢山の血が飛び散っていた。更に、兜ごと頭を潰された兵士の死体まである。
「うぅっ……!?」
僕は口を抑えて視線を外す。
またあの時みたいに吐くところだった……。
「そうだ、リテユスは……?」
「リテユス……?」
「エルを捕まえてた人だよ……そこの鎖にエルが……」
僕はそう言いながら切断されて垂れ下がった四本の鎖を指差す。
「あそこに私が……」
エルの呟きを聞きながら、僕は立ち上がる。
体が重い……。
「どこ行くの……?」
「ヴェルインさんを探さないと……それにリテユスもどこに居るか分からないし……」
僕は降りる為に使った昇降機に向かってゆっくりと歩く。
エルが後ろから追い付いて来て、僕に肩を貸してくれた。
「ありがとう……」
「ううん……私こそ、助けに来てくれてありがとう」
エルはそう言って微笑んだ。
床に乗り、もう一度スイッチを押す。すると今度は床が上って行った。
地下から上がって来て屋敷の廊下が見えた時、僕とエルは驚いた。
廊下は炎に包まれ、屋敷全体が燃えていた。
「そんな……早くヴェルインさんを探さないと!」
僕は廊下へ飛び出す。
凄い熱だ……ヴェルインさんが逃げ遅れていたら、間違いなく焼け死んじゃう……!
魔力を広げてヴェルインさんを探そうとするけど、少し広げるとすぐに目眩がする……。
「大丈夫……!?」
倒れそうになる僕をエルが支えてくれた。
「魔法が使えない……これじゃヴェルインさんがどこに居るか分からない……!」
僕とエルは燃え盛る屋敷の廊下を進んで行く。
二階に上がって廊下を見回すと、扉が少し開いた部屋がある事に気付いた。
僕は急いでその部屋に向かう。
「ヴェルインさん……!」
煙を吸わない様に手で押さえた口で呼び掛けて中に入る。
するとそこには、血を流して倒れているヴェルインさんの姿があった。
「ヴェルインさん!?」
「――ん……? 何だ、お前か……」
まだ息はあった。
ヴェルインさんはか細い声で僕に言う。僕の後ろではエルが茫然と立っていた。
「お、い……」
ヴェルインさんが手を伸ばして僕を呼ぶ。
直ぐに僕は側に駆け寄った。
「お、前に……言わないと、ならない、事がある……」
そう言ってヴェルインさんは僕に何かを渡してきた。それは金属の小さなペンダントだった。
ペンダントには、剣と折れた角の様な模様が彫られていた。




