Ep:17 覚醒 *
リテユスは叫ぶと同時に何かを取り出す。そしてそこに魔力を流すのが分かった。
その瞬間僕の体に衝撃が走る。
「がっ……!?」
衝撃に驚いて、僕はエルを落としてしまう。
「ああぁぁっ! うぅっ……!」
足元から苦しむ声が聞こえる。
エルが、紫の稲光の様な物を放つ鎖の枷によって藻掻き苦しんでいた。
「エル!」
僕はエルに手を伸ばし、助け様と触れる。すると、さっきと同じ衝撃が走った。
「このままそいつを殺しても良いんだぞ……!」
そう言うリテユスの声が聞こえ、その瞬間、僕は怒りに侵食された。
気付くと僕は、真っ暗な空間に居た。
『――チカラガ、欲シイカ……?』
突然僕の頭の中に低い声が響く。
「だ、誰……!」
『――弱キモノヲ苦シメル者ガ、憎イカ……?』
力? 憎い? どういう事……?
『欲セ、チカラヲ……! 覚エヨ、憎シミヲ!』
段々と頭の中の声が大きくなる……。
その力でエルを、助けられるの……?
『出来ル。同ジ、チカラヲ持ツモノヲ……』
エルを助けられる……? だったら――。
「欲しい! 僕はエルを助けたい!」
『良カロウ。我ノ力、受ケ取ルガ良イ……!』
気付くと真っ暗な空間から解放され、足元でエルが藻掻いている。
体の自由が利かない……? 首の痣が動く感覚がする……腕を覆い、脚を染め、顔にまで伸びているのが分かった。
「おぉ……! それが、私達が求める至高の力……!」
リテユスの声……僕は――。
「死ネ」
体の半分を赤黒く染めた異形の者がリテユスに飛び掛かる。
「ひいぃぃいっ!?」
リテユスは腰を抜かして座り込む。それを、容赦の無い赤黒い爪が切り裂いた。
「があぁぁっ!」
異形の者ライトは、リテユスの切り裂かれた傷を踏みつける。
「あぁぁ! 痛い! 血が! 私の血があぁぁっ!?」
リテユスは胸に乗った足を退けようと掴む。だが、即座に蹴り払われた。
「ふぎゃあっ!?」
軽く蹴り飛ばされただけでも、リテユスは地下空間の壁に叩き付けられる。
「がはあぁっ……!」
満身創痍のリテユスは、霞んでいく視界でライトを捉える。
ライトはリテユスへゆっくりと歩み寄っていた。
「お、お待ち下さい……! 魔王様! がはぁっ……!?」
その瞬間、ライトの動きが一瞬止まる。
だが次の瞬間、リテユスの眼前にライトは音も無く移動していた。
「ホゥ……我ノ事ヲ知ッテイルノカ……?」
ライトは息が掛かる程顔を近付けてリテユスに言う。
「は、はい……! 勿論ですとも……!」
「ソウカ、コノ時代ニモ我ヲ知ッテイル者ガ居ルノカ……」
ライトはその異形の右手で顎を撫でながら呟く。
その時、ライトの背後に一人の兵士が忍び寄っていた。
リテユスは額に汗を浮かべながらも笑みを浮かべる。
「ン……? ナニガオカシイ……マダ策ガアルト言ウノカ?」
ライトは自分に斬り掛かろうとしていた兵士に右腕を伸ばし、その顔面を握り潰す。
「マサカ、コレノ事ジャ無イダロウナ……?」
そう言ってライトは再びリテユスに顔を近付ける。
その瞬間、リテユスは死を悟り絶望した。




