Ep:15 地下 *
紺碧の髪の男は、何故かスワードさんをヴェルインと呼んだ。
「おい、お前は先に行け……!」
スワードさんは僕にそう言う。
僕が戸惑うのを察したのか、スワードさんは更に言った。
「早くしろ……!」
迷いはあるけど、僕はその場を走り去った。
スワード改め、ヴェルインとリテユスは睨み合う。
「これで邪魔は無くなった。正々堂々語ろうじゃないか、愚弟よ……」
「今の貴様に私を罵って良い権利があると思うのか!?」
「さぁな。そんな事より、お前の悪事の証拠を返してもらおうか……?」
「悪事ぃ? さあ、何の事か分からんぞ? 母上を父上も貴様が悪事をやったと思っている。ハハハ!」
ヴェルインはリテユスの言葉に唇を噛む。
「私の計画全てを貴様の所為にして母上に報告した時は実に清々した……父上は母上から報告を受けた時そんな筈はないと言ったが、所詮父上は母上に逆らえないのだ! フハハハ!」
「お前の計画が全て俺の所為にされていた時はどういう事か分からなかったが、蓋を開けて見ればそんな事か……」
「腹違いの兄だと言うのは気に食わないが、所詮は半分庶民の血を引いた愚民に過ぎない……! クレイの名を一度でも名乗れたことを光栄に思えば良い!」
リテユスの不敵な笑い声を聞きながら、ヴェルインは沈黙する。
「アイツがお前の狙っている子供の一人だと分かった時、心底驚いた……確かにお前が望む力をアイツは持っているかも知れない……だが絶対にお前の手には渡らない……!」
「は……?」
リテユスはその言葉に呆気にとられる。
「ははっ……何を言っている……?! あの子供は私の物だ!」
「違うな。アイツの力はアイツの物だ。例えそれが悪魔的な力だったとしてもな……!」
ヴェルインは剣を引き抜く。
それは木剣では無く真剣、人体を容易く切り刻む代物だ。
「ひいぃぃっ……!?」
リテユスは腑抜けた声を上げてヴェルインから逃げる様に去って行った。
「結局は戦えない腑抜けか……」
僕はエルの居る地下へと向かう。
その間、スワードさんと男の会話を聞いていた。
どういう訳か分からないけど、スワードさんは自分の思念と男の人の思念を僕に送り続けてくれていた。
『結局は戦えない腑抜けか……』
二人の会話が終わるのとほぼ同時に、地下に繋がるであろう道がある部屋に着いた。
扉を開けると、そこは人一人が立って居られるくらいの広さに、赤い絨毯が敷いてあるだけの小さな部屋だった。
当然の様に地下への入り口らしきものは見つからない。
「この下の筈なのに……」
部屋中をくまなく見回す。
すると、絨毯の端が捲れかけている事に気付いた。
捲って見るとスイッチの様な物があった。
スイッチを押すと、段々と床が沈んでいく。これが地下への昇降機……!
僕はゆっくりと地下へ下りて行った。




