Ep:14 秘密 *
屋敷の敷地の中に入った僕とスワードさんは、正面の扉の前に立つ。
「任せた」
僕は首の痣に意識を集中させて右腕に纏う様に伸ばす。
僕とエルが忌み子として産まれたのに、この力が関係しているかも知れない……。
でも、エルを助けられるなら僕はその力を惜しみなく使う……!
僕は屋敷の扉を殴って破壊した。
「きゃあぁっ!?」
屋敷で働ている使用人達が悲鳴を上げる。因みに外の衛兵達は全員倒しておいた。
僕達は屋敷の中へと突入した。
屋敷の部屋で紺碧の髪をした若い男が一人、座りながら葡萄酒を嗜んでいると、突然下から轟音と共に悲鳴が聞こえて来た。
「何事だ!?」
男は手に持っていたグラスから酒を零しながら立ち上がり叫ぶ。
そこへ、甲冑を身に着けた兵士が報告に来た。
「申し上げます! 何者かが、屋敷に侵入してきました!」
「何だと!? 衛兵は何をしている!」
「それが全滅で……」
「侵入者は何者だ!?」
「現在確認中です!」
そこに、もう一人の兵士が入って来る。
「申し上げます! 侵入者は、力を持つ子供と……」
兵士の言葉に男は驚く。
「まさか……攻めて来るとは……!」
男が呟く。
それを他所に兵士が顔を見合わせる。そして、先に入って来た方の兵士が口を開いた。
「り、リテユス様……!」
「何だ………」
「た、大変申し上げ難いのですが……その、御召し物が……」
その時、リテユスと呼ばれた男はようやく自分の惨事に気付く。
リテユスの着ている高価な服が、酒によって赤く染まっていたのだ。
「ああっ!? 私の、私の服がぁっ!?」
リテユスは、飛び出すのではないかという程目を見開いて発狂する。
「おのれ……! 絶対に許さんぞ!」
本来と違う角度から、リテユスは侵入者への怒りを露わにした。
僕とスワードさんが屋敷に攻め込んでから少し経った。
沢山出て来る兵士を斬り、僕は先へと進んで行く。
『おい、そっちはどうだ……!?』
「エルがどこに居るか分からない!」
僕はスワードさんと魔力を使って遠くでも会話できるようになっている。
何やら、魔力を飛ばして相手に自分の思念を送っているらしい。
その影響でスワードさんの声が頭に直接響いて来る。
『そう言えば、何かの書類に屋敷の地下に広い空間があると書いてあった。もしかしたらそこかも知れない』
「分かりました!」
僕は地下への入り口を探しながら走り、それぞれの部屋を一つ一つ確認していく。
屋敷は広い。これじゃ限が無い……!
僕は一度足を止め、魔力を周りに薄く広げていく。
エルが僕と同じ力を持っているならエルにも魔力がある筈だ……僕はそれを探す。
あった……! 地下の空間に広く魔力が阻害される部分がある! その中心にエルが――。
「うがっ!?」
僕の背後で声がする。
「何をしている! 背中ががら空きだぞ!」
振り返ると、スワードさんが僕に近付いていた兵士を倒していた。
「戦いの場に置いてはいつ何が起きるか分からない、油断するな!」
「それはこっちの台詞だ!」
僕とスワードさん以外の声……。
声のした方を見ると、そこには男が一人居た。その服には、何故か赤い染みが付いている。
「貴様が私の計画を調べているのを知った時は驚いた……だが、母上のお陰で全て丸く収まった筈だった! なのにまだ私の邪魔をするのか、ヴェルイン!」
紺碧の髪の男は、スワードさんに向かってそう言った。




