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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第一章 少年編
13/310

Ep:13 突入 *

 それからは真面目に特訓に励んだ。でも、あまり気合が入らない……。


「おい」


 僕はスワードさんを見る。


「お前にはこれから重大な事をやってもらう」


「え…?」


 スワードさんの眼は真剣だった。


「お前は痣の力を持っている。その痣を自在に制御できるようになれば、身体能力を大幅に強化できる筈だ。原理や性質はまだ分からないが、お前は魔力を操作するのにも時間は掛からなかった。剣だってそうだ。軽い木剣とは言え、振れる様になるまでは速かった。なら出来るんじゃないのか……?」


 思わずスワードさんの言葉に狼狽える。


 確かにアレを制御できれば強くなれるかもしれない……でも、また誰かを襲ってしまうかも知れない……。


「怖いのか……? またあの時みたいに自分が制御できなくなったらと考えて」


「……」


 スワードさんは僕の心の内を読む様な事を言う。


 でも確かに怖がってばかりじゃ何もできない。僕は顔を上げ、目を瞑る。そして、首の痣に意識を集中させた。


「ぅ…うぅ…!」


 首の痣が段々と右腕に伸びて行く。同時に、何故か魔力を根こそぎ吸われている様な気分になる。


 やがて、痣は僕の右腕を全て赤黒く染めた。ぎこちないけど、何とか腕は動かせる……。


「よし、まずは制御できている。そのまま俺に剣を振って見ろ」


「え……! でも……」


「問題無い。今回は魔力も使える」


 僕はスワードさんに木剣を構える。でも、教わった両手での構えとは別の形で……。


 今は左腕が付いて行けるのか分からなかったし、右腕の強化を最大限使える様に片手だけで木剣を持った。


「成程……考えたなっ……!」


 スワードさんはそう言って跳び込んで来る。


 僕は何も考えず、一度木剣を縦に振ってみた。


 その瞬間、間合いを詰めている筈のスワードさんが後ろに吹き飛ばされた。更に、その後ろにあった花瓶が二つに割れる。


「な……!?」


 なんと僕は剣を振った風圧だけでスワードさんを吹き飛ばし、後ろの花瓶を割ってしまった。


「風圧でこの威力だと……斬撃が飛んだ様だ……」


 今度は僕から攻撃する。


 もう一度痣に意識を集中させて更に伸ばす。


 今度は痣で右足を包み、僕はその足で跳躍する。


「(やはり速いっ……!)」


 スワードさんは咄嗟に木剣で防御する。


 本来なら切れる筈の無い木剣の刃が、スワードさんの木剣に、三分の一ほど食い込んでいた。


「おいおい…」


 スワードさんは呟く。


 僕は連撃を繰り出し、木剣のぶつかり合う音と衝撃が薄暗い裏路地に響いた。











 約束の日。


 僕にとってはエルを助け出す大切な日。


「良いか、俺の目的は、この屋敷にある俺の私物を取り返す事だ」


 僕は深く頷く。


 今僕が持っているのは木剣ではなく真剣。この戦いは間違いなく殺し合いになる……。


「行くぞ……!」


 スワードさんの声を合図に、僕達は豪華な造りの屋敷の塀を乗り越えた。

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