Ep:135 破壊
僕はドミヌスさんと一緒にトイフェルと対峙する。トイフェルは顔色を変えず、二対一になっても余裕の表情を浮かべる。
「わざわざ戻って来てくれるとは、手間が省けて助かるよ」
「僕は捕まりに来たんじゃない…!お前を倒す為に来たんだ!」
僕はそう言ってトイフェルに肉薄する。
「君が私に勝てる筈が無い」
そう言うトイフェルに僕は斬りかかる。しかし、次の瞬間トイフェルの姿は忽然と消え、僕の背後に現れる。咄嗟に振り返り斬りかかろうとするが、トイフェルに押し返された。
「事実上の時を統べる者」
トイフェルがそう言うと、僕は思い切り剣を振った。
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時間の止まった世界の中で、唯一動けるトイフェルは、目の前のライトに手を伸ばす。その瞬間、何故かトイフェルの親指が切断された。
「うっ…!?」
トイフェルは驚き、時間停止を解除する。ライトは、トイフェルの手を見て言った。
「できた…!」
トイフェルは鮮血を流す親指を押さえ、ライトを睨み付ける。
「一体何を…!?」
「僕はお前の能力に幾つかの仮説を立てていたんだ。その中の一つに、時間の流れを極限まで遅くして、一見時間が止まっているかの様に見せると言うのがあった」
ライトの説明に、ドミヌスは耳を傾け、トイフェルは睨みながら聞く。
「さっき手を斬ったのは、僕が第一段階の力を使って放った空刃。そっちが言う時間が止まった状態でも、目に見えない形で刃は残り続けていたんだ」
「成程…確かに奴は時間停止を解除してから魔法弾を撃っていた。自分が放った魔法弾でも、後から動かせるようにする事は出来ないのか…?」
ドミヌスはライトの考えに同意する。しかし、その言葉にトイフェルは返す。
「残念――」
その瞬間、再び時間が止まり、トイフェルは二人に向けて魔法弾を放つ。その魔法弾は何の弊害も無く二人に向かって飛んで行った。トイフェルはそれを見ながら親指を擦る。すると何故か斬れ飛んでいた筈の親指が元に戻っていた。
「これで目的達成だ」
トイフェルはそう言って時間停止を解除する。ようやく魔法弾が自分の眼前まで飛んできていた事に気付いた二人は、成す術も無く吹き飛んだ。
「さてと…第一段階を展開しているなら死ぬ事は無いだろう」
そう言ってトイフェルは、黒煙の立ち込める二人が経って居た場所に近付く。しかし、その背後に突然ライトが現れた。
「何…ッ!?」
トイフェルは咄嗟に振り返り、ライトの剣を受け止める。
「何故だ…君はさっき――まさか…!」
「言っておくけど、原理が分かれば僕だって使える様になるんだよ!」
「段階上昇が仇になったか…!」
ライトはトイフェルの時間停止の原理を理解し、第四段階の全魔力と膨大な魔力を使って再現して見せた。
「だが私が止めれば…!」
トイフェルはそう言って時間停止、厳密には時間の流れを極限まで遅くさせた。
「君が時間を止められようが、私が先に止めてしまえば話にならない…」
そう言ってトイフェルは、トイフェルと鍔迫り合いになった状態のまま固まるライトに剣を振り上げる。だが、突然ライトが動き出し、その剣を弾き飛ばした。
「なっ…!?何故動ける…!?」
「時間の流れが遅くなっているだけなら、僕がそれに追いつける程早くなれば良い。第四段階を使ってね」
「強化か…つくづく君は面白い。そして私の積み上げて来た物を壊していく…地位も、名誉も、魔法さえも…」
「トイフェル…!お前を捕まえる!」
ライトはトイフェルに向かって叫んだ。




