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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第四章 剣聖編
131/310

Ep:131 救援

「三十四体目…!」


僕は王都中を駆け回り、目についたA(エース)を片っ端から倒していた。もう街に人影は無い。A(エース)を倒しながら、時折現れるNo.s(ナンバーズ)を七人程殺した。


「貴様を回収する!」


声と共に、横から大きな火弾が飛んでくる。躱して声がする方を見ると、赤いローブのXth(テンス)が居た。


「またXth(テンス)…!」


「我が名は火炎のXth(テンス)フレイ――」


「知ってるよ!」


僕はそう言ってフレイムに肉薄する。屈強な腕が焼け焦げ無くなった袖から見える。僕は第一段階(フェーズワン)の力を込めた渾身の蹴りをフレイムにお見舞いする。


「ぬうッ!」


フレイムは腕を交差させて蹴りの直撃を防ぐ。大きく体勢を崩し、地面を滑る程の勢いだったけど、僕の蹴りをフレイムは受け止めた。


「そんな…!?」」


「良い蹴りだ…!だが、俺には効かんぞ!」


フレイムはそう言うと、両手に炎を纏わせ肉薄して来る。フレイムは大きく拳を振りかぶり、僕に向かって振るう。僕は後方に跳躍して躱し、避けた拳を見る。すると、音を立てて石畳が崩れた。


「そんな出鱈目な…!」


「これが魔法による身体強化の底力だ。さぁ、貴様の本気を見せて見ろ」


そう言ってフレイムは、掛かって来いと言わんばかりの仕草を取る。


「死んでも知らないよ…?」


「良いとも…」


僕はとっておきの魔法の準備をする。右手の小指以外の全てを立てる。親指を上に、それ以外の指をフレイムの方へ向け、前腕の付け根に左手を添える。それを見てフレイムも技の構えを取る。指を揃えた開き手を僕の方へ向け、左手を腰の横に添えて腰を落としている。


「"フレイム"!」


そう言ってフレイムは開き手を前に突き出す。そこに集まった炎の魔力が巨大な炎となり、地面を削りながら僕に向かって飛んでくる。


「グレネードショット!アクア!」


僕はフレイムに向けた三本の指の先に水の魔力を集め、人の顔程の大きさの水の弾を作る。発射された弾は、放物線を描きフレイムの炎へと飛んで行く。炎と水の弾がぶつかると、僕は圧縮していた魔力を開放し、水の弾を炸裂させた。それはフレイムの炎を呑み込み、その奥のフレイム自身にも降りかかる。炸裂の威力は凄まじく、飛び散った水滴でも家屋の外壁に傷をつける程。


「ぐあぁ…ッ!」


当然それを殆ど生身の人間が受ければ只では済まない。水蒸気が晴れると、フレイムは全身穴だらけの状態で死んでいた。


------------------------------------


 同時刻、エルはヘルツと対峙していた。


「うぅっ…!」


剣の腕はヘルツの方が一枚も二枚も上手。五対一の状況は打開したにも拘らず、戦況はエルの方が不利だった。


第四段階(フェーズフォー)!」


エルはヘルツとの距離を開け、初めて第四段階(フェーズフォー)を開放する。何ができるかと使い方はライトから聞いていた。エルは掌に魔力を集め、属性付加の要領で魔法を生み出す。


「はあぁ!」


そう言ってエルは光の魔法をヘルツに放つ。しかし、小さな魔法弾はヘルツの剣に断ち切られた。


「茶番は終わりだ、お前を回収する」


ヘルツは感情の読めない口調でエルに言う。エルは歯を食いしばり、ヘルツを睨んだ。


「まだ反抗の意思があるのか…ならば」


そう言ってヘルツは剣を振り上げた。エルは目を瞑り、ヘルツは剣を振り下ろす。


「ッ…!お前は…!?」


ヘルツの剣はエルには届かず、驚くヘルツの声が聞こえる。エルは目を開け、目の前の状況を確認する。エルの眼前には、ヘルツの前に立ち塞がる黒髪の少女の姿があった。


「探しました!間に合って良かった…!」


「後は俺達に任せろ…」


眼前の少女の声がし、少し後ろから小さく少年の声がする。エルは振り返り、少年の姿を確認して言った。


「アカネ!アオイ!」


「少し都合の良い様な気もしますが、貴女の相手は私達です!」


アカネはそう言ってカタナをヘルツに向けた。

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