Ep:131 救援
「三十四体目…!」
僕は王都中を駆け回り、目についたAを片っ端から倒していた。もう街に人影は無い。Aを倒しながら、時折現れるNo.sを七人程殺した。
「貴様を回収する!」
声と共に、横から大きな火弾が飛んでくる。躱して声がする方を見ると、赤いローブのXthが居た。
「またXth…!」
「我が名は火炎のXthフレイ――」
「知ってるよ!」
僕はそう言ってフレイムに肉薄する。屈強な腕が焼け焦げ無くなった袖から見える。僕は第一段階の力を込めた渾身の蹴りをフレイムにお見舞いする。
「ぬうッ!」
フレイムは腕を交差させて蹴りの直撃を防ぐ。大きく体勢を崩し、地面を滑る程の勢いだったけど、僕の蹴りをフレイムは受け止めた。
「そんな…!?」」
「良い蹴りだ…!だが、俺には効かんぞ!」
フレイムはそう言うと、両手に炎を纏わせ肉薄して来る。フレイムは大きく拳を振りかぶり、僕に向かって振るう。僕は後方に跳躍して躱し、避けた拳を見る。すると、音を立てて石畳が崩れた。
「そんな出鱈目な…!」
「これが魔法による身体強化の底力だ。さぁ、貴様の本気を見せて見ろ」
そう言ってフレイムは、掛かって来いと言わんばかりの仕草を取る。
「死んでも知らないよ…?」
「良いとも…」
僕はとっておきの魔法の準備をする。右手の小指以外の全てを立てる。親指を上に、それ以外の指をフレイムの方へ向け、前腕の付け根に左手を添える。それを見てフレイムも技の構えを取る。指を揃えた開き手を僕の方へ向け、左手を腰の横に添えて腰を落としている。
「"フレイム"!」
そう言ってフレイムは開き手を前に突き出す。そこに集まった炎の魔力が巨大な炎となり、地面を削りながら僕に向かって飛んでくる。
「グレネードショット!アクア!」
僕はフレイムに向けた三本の指の先に水の魔力を集め、人の顔程の大きさの水の弾を作る。発射された弾は、放物線を描きフレイムの炎へと飛んで行く。炎と水の弾がぶつかると、僕は圧縮していた魔力を開放し、水の弾を炸裂させた。それはフレイムの炎を呑み込み、その奥のフレイム自身にも降りかかる。炸裂の威力は凄まじく、飛び散った水滴でも家屋の外壁に傷をつける程。
「ぐあぁ…ッ!」
当然それを殆ど生身の人間が受ければ只では済まない。水蒸気が晴れると、フレイムは全身穴だらけの状態で死んでいた。
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同時刻、エルはヘルツと対峙していた。
「うぅっ…!」
剣の腕はヘルツの方が一枚も二枚も上手。五対一の状況は打開したにも拘らず、戦況はエルの方が不利だった。
「第四段階!」
エルはヘルツとの距離を開け、初めて第四段階を開放する。何ができるかと使い方はライトから聞いていた。エルは掌に魔力を集め、属性付加の要領で魔法を生み出す。
「はあぁ!」
そう言ってエルは光の魔法をヘルツに放つ。しかし、小さな魔法弾はヘルツの剣に断ち切られた。
「茶番は終わりだ、お前を回収する」
ヘルツは感情の読めない口調でエルに言う。エルは歯を食いしばり、ヘルツを睨んだ。
「まだ反抗の意思があるのか…ならば」
そう言ってヘルツは剣を振り上げた。エルは目を瞑り、ヘルツは剣を振り下ろす。
「ッ…!お前は…!?」
ヘルツの剣はエルには届かず、驚くヘルツの声が聞こえる。エルは目を開け、目の前の状況を確認する。エルの眼前には、ヘルツの前に立ち塞がる黒髪の少女の姿があった。
「探しました!間に合って良かった…!」
「後は俺達に任せろ…」
眼前の少女の声がし、少し後ろから小さく少年の声がする。エルは振り返り、少年の姿を確認して言った。
「アカネ!アオイ!」
「少し都合の良い様な気もしますが、貴女の相手は私達です!」
アカネはそう言ってカタナをヘルツに向けた。




