Ep:126 討伐
僕は少し悩み、痣の力で大きく上に跳躍した。家屋の屋根に上り、トイフェルを置いてAを探すことに決めた。僕は屋根の上を走りながら、ブルートとの連絡を図る。
「ブルート!王都中にAと呼ばれる怪物が発生してる!」
『何だと!?Aつったか、どんな奴だ…!?』
「白銀に脱色した髪に、赤黒い肌、黒い爪の元人間…!」
『元人間…!?』
「第一段階の力で何とか凌げる程度の怪力を持っているし、魔力も恐らく全て使える。トイフェル曰く、魔王の贋物だって…!」
『仕方無い…分かった、俺も極力ソイツの討伐に向かう。幸いこっちの相手は離れやすそうだしな…!』
「頼むよ…!あと、この事はエルには言わないでおいて…」
『分かった!』
僕はブルートとの会話を終えると、丁度二体目のAを見つける。屋根を壊さない程度に跳躍し、Aの目の前に着地する。そして間髪入れずその首を刈り取った。Aの体は灰と化し、僕は再び屋根へと上った。
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トイフェルはライトの跳び去った方向を見上ている。トイフェルは視線を正面に戻し言った。
「作戦変更だ。総力を挙げてライトを追う。生き残っているNo.sとJ、K、ヘルツとクロウヴはそのまま、ディアはQを連れてライトを追ってくれ。私は時間を止めて力を貸そう…!」
トイフェルはそう言うと両手を前に突き出し、掌を前に向けた。するとそこに、機械式時計の様な青い魔法陣が浮き上がる。
「事実上の時を統べる者、最大出力…!」
時計の様な魔法陣の針に当たる部分が高速で回転し、やがて頂点で止まる。その瞬間、時空が歪み『切り札』の構成員以外の時間が停止した。
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これで十体目…!僕は視界に入ったAを片っ端から倒して回る。元々は善良な一般人だと考えると心が痛むが、逆にこのまま放置する訳にもいかない。放置すれば被害は広がるし、何より元の人はそんな事は望んでいない筈だ。
「見つけたぞ!」
突然僕の目の前にNo.sが現れる。番号はVIth。VIthは僕に向かって剣を振る。昔ならかなり苦戦しただろうけど、今は違う。容易く予測できる斬撃を躱し、VIthの首を刈る。
「また時間停止…!」
僕はVIthの死体をその場に放置し、A討伐を続行した。大通りを走り、悲鳴が聞こえる度にその場所へと向かいAの首を斬る。
軽く二十体程討伐した…エルが捕まっていた一週間の間にかなりの量の血を取られていたらしい…大通りを走っていると、大通りに垂直に面した横道から悲鳴が聞こえた。
「今度はあっちか…!」
僕は急いで向かい、横道の前を通る直前に右手をショットの構えにする。それを右に向け、手を添える。
「スナイプショット!」
僕は無属性の白い魔法弾を放つ。それは僕の意思によって縦横無尽に曲がり、確実にAへと着弾した。どうやって人を避けたかと言うと、第三段階の予測能力で人の動きを予測していたから。
僕は跳躍し、屋根に上る。あちらこちらで被害の煙が上がっているのが見えた。風に乗って流れてくる煙の一部にはブルートの魔力を感じる物もある。すると、突然背後から殺気を感じ、振り返ると同時に剣を振る。
「また…!」
そこにはNo.sが二人居り、僕は二人の剣を受け止めた状態になっていた。番号なんか気にしてられない…!
「ぐっ…!」
「がぁっ…!!」
僕は二人を連続で斬り飛ばす。死体は転がり、屋根から落ちて行った。しかし、また新たなNo.sが目の前に現れた。そのNo.sは、緑色のローブを身に着けていた。
「久しぶりだな」
「サイクロン…!」
緑色のローブを着たNo.s、旋風のXthサイクロンは言った。




