表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第四章 剣聖編
119/310

Ep:119 拡声

 ヘルツは、その首に迫る炎の剣に対して怯える所か、何も反応しない。ブルートの剣はそのままヘルツの首まで届いた。


「おらあッ!」


そう言ってブルートは剣を薙ぐ。しかし、いつの間にかヘルツに絡まっていた樹木は全て断ち切られ、ヘルツの姿はその場から消えていた。


「痛ッ!」


僕の少し後ろでエルが突然言う。


「どうしたの!?」


僕とブルートは慌てて駆け寄る。エルは左の上腕の辺りを抑えていた。


「何があった…!?」


「何か刺されたみたい…」


ブルートの質問にそう言ってエルは手を退ける。そこには皮膚を貫通した小さな穴が幾つか開いていて、そこから少し血が滲んでいた。


「これってまさか…」


「さっきの注射器だと思う…」


僕とブルートは、さっきヘルツが持っていた空の注射器の事を思い出し顔を見合わせた。


------------------------------------


 ヘルツは、トイフェルの居る部屋に戻ってきていた。


「申し訳ございません…助かりました…」


ヘルツはトイフェルの前に跪く。


「仕方ない。あの状況でエルの()()()()()きた君の対応は賞賛すべきだ。それより、クロウヴの姿が見えないが…」


「分かりません…少なくとも、ここに戻ってくるまでの間は見ていませんが…?」


トイフェルは椅子の肘掛けに頬杖を突き、少しの間黙る。


「嫌な予感がする…少し早いが、計画を進行しよう。紙を貰っても良いかな?」


「は、ここに」


ヘルツはトイフェルに紙の束を渡す。トイフェルは目を瞑り、その紙に魔力を流した。すると、ライトの顔とエルの顔が紙に浮き上がる。トイフェルは風の魔法を起こし、その紙を窓から外へ飛ばした。そして立ち上がり言った。


「英雄教の信者諸君!この少年少女は、古の魔王の生まれ変わりだ!早急に処刑しなければ、魔王が完全復活を遂げる!見つけ次第殺せ!」


「殺せとは…!良いのですか…?」


「問題ない。所詮一般人の実力では今の彼らには敵わない。只、彼らの事だ。王都の人間を殺せずに、良いハンデになるんじゃないか?」


「成程…」


ヘルツはトイフェルの考えに感銘を受ける。


「さぁ、聖戦の開戦と行こうか…!」


そう言うとトイフェルは屋敷の窓から飛び降りる。足音無く着地し、門の前に待機している第13大隊の騎士を、敢えて大規模な魔法で薙ぎ払った。それを見てヘルツも飛び降り、その背を追った。


------------------------------------


 トイフェルは声を魔力に乗せ、王都中の人間に伝えていた。王都の人々の信仰率はおよそ九割。殆どの人間がライトとエルの敵になってしまった。それは勿論、武具屋のフォルジュロンにも聞こえていた。


「少年少女が魔王の生まれ変わりだと…?どの子供が…」


フォルジュロンは呟きながら店の外へ出る。すると、空から二人の顔の描かれた紙が降って来た。


「こいつは…!」


フォルジュロンは驚き、目を見開いた。


 同時刻、王立リッター騎士養成学園の全生徒や教師が動きを止め、トイフェルの言葉に耳を傾ける。


「「魔王の生まれ変わり…?」」


「「それって大丈夫なの…!?」」


生徒同士の会話で校舎中がざわつく。緋色の髪の少女ルージュは、渡り廊下の窓から後者の外に出て空を見上げていた。


「これ…!あの時の…!」


その時、ルージュの脳裏に沢山のゴブリンから救ってくれた一人の男が浮かぶ。


「ブルート…!それと、ライトとエル…!」


ルージュは葛藤した。この国の者として魔王を倒すか、関わりは浅いとは言え、元同級生のライトとエルを援護するか。


「――援護しなきゃ…!」


ルージュは校舎に戻り、取り巻きのフロントとリアを探した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ