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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第四章 剣聖編
116/310

Ep:116 葵色

 クロウヴは自分の肩からダギルの剣を退かす。投げ捨てられた剣の勢いでダギルは倒れた。


「ククク…危ないっすね…!」


クロウヴは倒れたダギルに刺さっていた自分の剣を引き抜く。そしてその傷口を踏みつけた。


「クク…!ハハ…ッ!部下の前で醜態を晒したっすね…!気分はどうっすか…?」


「がふッ…!」


クロウヴは更にダギルの傷口を踏みにじる。


「貴様…!」


怒りの声と共にアオイの蹴りがクロウヴの背に命中する。クロウヴは前方に吹き飛ばされる。


「大尉殿!しっかりして下さい!」


「確りしろ!」


アカネとアオイはダギルに駆け寄り声を掛ける。アオイは自分の服を破り、それを傷口に宛てがう。葵色の布が赤黒く染まっていく。


「いっつ…」


アオイに蹴り飛ばされ廊下の壁に激突したグロウヴが立ち上がる。頭から血を流し、その部分を手で押さえている。アオイはクロウヴを睨みながら呟く。


「姉貴…姉貴は第十三大隊の騎士を呼んできてくれ…」


「じゃ、じゃあ葵は…!?」


アオイは立ち上がり、そのカタナをクロウヴに向けて言った。


「此奴をぶった切る…!」


「わ、分かった…!」


アカネはそう言うと応援を呼ぶ為にその場を去った。それを確認し、アオイは一度カタナを仕舞う。そして、その柄に手を掛け居合の構えを取り呟いた。


宵刀流(よいのとうりゅう)…宵闇の閃…!」


アオイはカタナの鍔を親指で弾き、その瞬間に残像を残し姿を消す。次の瞬間、クロウヴの眼前に現れ、そのカタナを大きく薙ぐ。クロウヴは屈み、首の高さのカタナを躱す。


「無駄なんすよ…」


クロウヴはそう呟くと剣の柄でアオイの腹を殴る。アオイは後方へ飛んで行く。


「ぐっ…!」


アオイは左手で腹を抑え、声を漏らす。アオイはクロウヴを再度睨んだ。


「ク…クク…クククク…ッ!その上司面してる奴…面白いっすね~…?適当に振ってただけなのに、自分から突っ込んで来てその様っすよ…?」


クロウヴは倒れているダギルを指差し嘲笑う。


「人よりちょっとばかし運が良いだけで、こんなにも実力差が埋まるとはなぁ~!」


アオイはその言葉に唇を噛む。それを見てクロウヴは煽る様に言った。


「掛かってこいよぉ~ッ!!」


その言葉にアオイはカタナを前に構え、爪先で立ち言う。


宵刀流(よいのとうりゅう) 秘技の弐…鏡花水月…!」


アオイは突風を起こし姿を消す。クロウヴの周りに風が吹き付ける。


「どこ行った…!?」


クロウヴは周りを見回し振り返る。その瞬間、振り返ったクロウヴの背後にアオイが現れた。それに気付いたクロウヴは咄嗟に振り返る。


「ハァッ!」


クロウヴは背後に現れたアオイを斬る。しかし、その斬撃に手応えは無かった。


「残像…!?」


クロウヴは振り返る。既にカタナは振られていた。咄嗟に剣を振ったが、カタナの軌道をほんの少し逸らす程度の効果しかなかった。


「グッ…!」


クロウヴは胸を浅く斬られる。


「俺の恨みはこんな物じゃ無いぞ…」


アオイは脅しを効かせた言葉をクロウヴに掛ける。アオイは剣を前に構え呟く。


宵刀流(よいのとうりゅう) 奥義 月神月読…!」


その瞬間、アオイの周りに覇気の様なものが現れ、クロウヴに吹き付ける。葵色の光を纏い、その特殊な見た目の服が形を変える。最終的には、葵色の光の輪が額に頭飾りの様に付き、同じく帯の様な物がその背に漂っていた。


「何だよソレ…」


クロウヴもあまりの変化ぶりに絶句していた。

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