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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第四章 剣聖編
113/310

Ep:113 放火

 僕達は警戒しながら廊下を進む。


「やけに静かだな…」


ブルートは呟く。確かに、人の気配を全く感じない。


「本当にここで合ってるのか…?」


ブルートは周りを見渡しながら呟く。


「間違いは無い筈だよ…」


僕はブルートの言葉に答える。薄暗い訳じゃ無い。それでもこの屋敷は異様な雰囲気を醸し出している。


「ライト、どっちに行くんだ?」


ブルートが左右に曲がる角の前に立ち、振り返って言う。


「左にしよう」


僕は答える。ブルートは角から顔を出し、左右の状況を確認して左に曲がる。暫く進み、また同じ様な曲がり角に当たり左に曲がる。そしてまた進む。


「ずっと同じような景色だな…って言うか、何でカーテンを閉め切ってんだ…?」


ブルートはそう言うと窓に付いているカーテンを開く。魔力結晶が発光している明かりとは違う、太陽の光が窓から差し込む。


「行くか」


ブルートは外の景色を見て満足したのか、そう言うと先へと進んだ。すると、また左右への曲がり角が現れる。


「今度は右に曲がろうぜ」


「そうだね…ずっと左じゃ同じところを回る様だし」


僕とブルートは右へと曲がる。また進み、四回目の曲がり角が現れる。


「またか…」


ブルートはそう呟きながら左へ曲がる。


「なっ…!?」


「どうしたの?」


ブルートが声を上げ足を止める。それを追い、僕も左を見る。その瞬間、とんでも無い景色が目に入る。


「これって…!」


僕とブルートが駆け寄った先には、さっきブルートがカーテンを開けた窓があった。


「何でここに!?」


「絶対に可笑しい。一回は右に曲がってるから、一周して来た訳じゃ無い…!」


「俺達はもう敵の術中に嵌ってたって事か…!?」


「その可能性が高そう…!」


即座に僕とブルートは背中合わせになり、腰から剣を抜く。


「転移魔法か…!?それとも幻覚魔法か…!?」


「分からない…でも、確かめる方法ならあるよ…!」


「何だ…!?」


「もしも転移魔法なら、僕達だけじゃなくて他の物も転移させられる筈。それは物体だけじゃなくて魔法も含まれる筈だよ…!」


僕は右手でショットの構えを取る。それを左の廊下の奥へと向ける。


「ヒート…!」


小さな火の弾が素早く飛んで行く。それは廊下の半分程まで飛ぶと、突然消えた。


「こっち…!」


僕は咄嗟に振り返る。すると後ろから火の弾が飛んできて、曲がり角の中央の壁に着弾した。


「転移魔法だな!」


「うん…!でも、それが分かった所で対処法は無いよ…!」


「あぁ…術師を探さねえと…!」


僕とブルートは周りを見渡す。特に怪しい物は無い。こう言う術の特徴として、内側から掛けるのと外側から掛けるのとがある。だけど、外側から掛ける術には高度な魔力制御が求められる。


「ねぇブルート、良い事思いついたんだけど…」


「奇遇だな。俺もだぜ」


僕とブルートは同時に若気る。そして、同時に火の魔力を乱射した。


「ハアァァァッ!」


「おらおらおらおら!!」


ショットじゃない大きな火の弾と、噴き出す炎(ジェットフレア)じゃない炎を発射しまくる。勿論、それは屋敷に引火した。もくもくと煙を上げ、どんどんと屋敷は崩れ落ちて行った。


「…くそ…!何て事しやがる…!」


炎に包まれた廊下の何処からかVth(フィフス)らしきローブの男が出て来て、そして瞬間移動でどこかへ消えた。


「これで転移魔法は解除されたか…?でもこれどうするよ?」


「任せて」


僕は辛うじて残っている床に手を着き、氷の魔力を大量に流す。それはどんどんと広がり、炎さえも包み込み凍らせた。


「おお、こりゃ凄えな…!冷気が気持ち良いぜ…」


そう言ってブルートは壊れかけの壁に寄りかかる。


「ぬおっ!」


ブルートの重みに耐えきれなかった壁は音を立てて崩れ、ブルートは後ろへと倒れた。

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