Ep:112 侵入
トイフェルの元に乗り込む事が決まってから一週間が経った。今日がその約束の日。王都に居る第5小隊の僕達と、更に王都の中心を守る第13大隊も協力してくれる事になった。僕達は第13大隊の後ろの方で出撃を待っていた。
「もう一週間も経ったのか…本当はもっと早く動ければ良かったんだが…」
ダギル大尉は呟く。確かに、エルが捕まってからもう一週間…今頃エルがどうなっているのか…
「これより!剣聖、トイフェル=クレアシオン率いる反国家組織の敵地に乗り込む!相手は我らが団長を殺した相当な手練れだ!覚悟して掛かれ!」
第13大隊の隊長が、僕達の前に居る沢山の隊員及び僕達に向けて言う。それに応じる様に大隊の隊員達は雄叫びを上げる。そして、僕達はトイフェルの潜む屋敷に向かい始めた。
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第13大隊の隊員は、各方角からトイフェルの屋敷に近付いて行く。僕達第5小隊は、最も優先的に乗り込む権利を貰った。僕達は既に、トイフェルの屋敷のすぐ目の前まで来ていた。
「門番にIstが二人か…余裕だな」
僕達は屋敷の少し離れた場所から様子を見ている。ブルートは門の前に立っている二人のIstを見て言った。
「油断はするな。その奥にまだいるかも知れない」
「あぁ。だがライト、特訓の成果を見せてやれ」
ブルートは僕に言う。僕は右手の人差し指と親指を立て、一人のIstの方へ向ける。更に、左手を右手に添えて安定させる。そして、左目を瞑り言った。
「スナイプショット、アイス…!」
僕は指先に氷の弾を生成し、それを放った。素早く飛ぶ弾はIstに着弾し、その体を凍らせた。それに気付いたもう一人のIstは慌てて駆け寄る。
「アイス…!ヒート…!」
僕は二つの弾を連続で発射する。氷の弾がもう一人のIstを凍らせ、小規模な爆発を起こした火の弾によってその体は砕け散った。
「ライトお前…割と惨い事するな…」
ダギル大尉は呟いた。
「兎に角、入るぞ…」
葵が言い、僕達は門を乗り越え屋敷の敷地へと入った。
「流石に扉は開いて無い…」
「私に任せて下さい…!」
僕の呟きに茜が答え、その腰の刀を抜く。
「はぁ…っ!」
茜はその刀で薙ぎ、屋敷の扉を斬った。扉は静かに崩れ落ちた。
「これで中に入れます…!」
「お、おう」
ダギル大尉は少し戸惑いながら屋敷の中に入って行く。僕達も、その後に続いて入って行った。
「どこに何があるか分からねえな…エルがどこに居るのかも、トイフェルがどこに居るのかも…」
ブルートは歩きながら呟く。扉の奥は至って普通のロビーになっていて、二階まで吹き抜けで大きなシャンデリアが吊られている。
「二手に分かれて探そう。ライトとブルート、アカネとアオイで別れて貰って、俺は…アカネの方に行こう」
「分かりました。行こう、ブルート」
「おう」
僕とブルートは屋敷の右側へ向かう。その後ろで、ダギル大尉達の話し声が聞こえる。
「じゃあ、俺達も行こう」
「はっ!」
ダギル大尉への返事に茜の声だけが聞こえて、葵は何も言わずに着いて行った。




