Ep:111 炎拳
ブルートに弾かれた石の弾ははじけ飛び、小さな破片を撒き散らす。ブルートはそれを蹴りで一掃した。
「言うだけあってやるじゃねえか!でもな、こっちも良い事思いついたぜ!」
そう言うとブルートは腰を落とし、踵から炎を噴き出し飛んで来る。そして、空中で飛び蹴りの体勢になって叫ぶ。
「素早い炎!」
僕は木剣で蹴りを防ぐ。ブルートは右足で蹴り、左足を使って間合いを少し開けては手から噴射した炎の推進力で何度も蹴る。
「第三段階…!」
僕はブルートの行動を予測する事にする。ブルートはまだ蹴りを繰り出す。僕は段々と後退り、訓練場の壁まで追い込まれた。
「おらおら!どうした!?」
ブルートは叫ぶ。その瞬間、ブルートが一際強い蹴りを繰り出す事を予測した。僕は即座に頭を下げる。頭上にブルートの足が通過し、大きな音を立てて壁に激突する。僕は痣に包まれた右腕でブルートの体を押し飛ばした。
「ぐッ…!」
ブルートは炎を使って空中で体勢を立て直し着地する。
「ショット!」
僕はもう一度人差し指の先に魔力を流し、氷の弾を生成する。
「アイス!」
空を切る音と共に氷の弾は飛んで行き、ブルートに一瞬で近付く。僕は飛ばした魔力を開放し、氷の弾を破裂させる。空気中の水分が一瞬で凍り、ブルートに向かって降り注ぐ。
「焼却!」
ブルートが叫ぶと、その周りに炎の輪が広がる。その所為でブルートに当たる前に氷は全て溶け去った。溶け落ちた水は一瞬で蒸発する。
「アクア!」
僕は水の弾を作りブルートに向かって飛ばす。
「炎の拳!」
そう言うとブルートは大きく振り被る。次の瞬間、ブルートの肘から炎が噴き出し推進力となり、その拳が前へと突き出される。拳にも炎を纏い、水の弾を相手する。
「くっ…!」
僕は水の弾を破裂させる。しかし、破裂して広がり切る前にブルートの拳に捉えられ、水の弾は一瞬で蒸発した。
「噴き出す炎!」
ブルートは拳の勢いも乗せて跳び、踵から噴き出した炎の推進力で飛んでくる。予測があっても追い付かない速度でブルートは飛んでくる。咄嗟に木剣でブルートの拳を防ぐ。
「ぐわぁッ!?」
木剣では防ぎ切れず折れて飛び、僕は壁に叩きつけられた。
「うぅ…ま、負けた…?」
「大丈夫か?ちょっとやりすぎたか…」
ブルートは倒れる僕に手を伸ばしながら言う。
「新しい技、強かった」
僕はブルートの手を掴みながら言う。
「お前こそ、初見じゃ躱しにくいだろ。色々と可能性を感じるな、ショットは」
「ありがとう」
僕はブルートの手を引き、立ち上がった。
「流石に疲れたな…一回戻ろうぜ」
「そうだね」
僕とブルートは訓練場を出て、一度部屋に戻った。




