Ep:109 発射
僕達はダギル大尉に報告を受けていた。
「残留魔力が見つかった…!?」
「あぁ。元々はエルの魔力を見つける為の調査だったが、敵のものらしき魔力も見つかった。敵の属性は氷、ここから北の方角…つまり王宮の方へ向かったらしい」
「それって…!」
「言いたい事は分かるが、王宮にトイフェルは居ない。王宮に陛下が戻って来たという報告は無いしな」
「堂々と戻って来るとも限らない…」
アオイはダギル大尉に言う。
「確かにな」
ダギル大尉は何かしらの自信がある様な口振りで言う。
「何故俺が言い切ったか分かるか?残留魔力の痕跡を追って、奴らが居ると思しき屋敷を見つけた。だから俺は言い切ったんだ」
「それは本当か!?」
ダギル大尉の言葉に、ブルートが驚いて声を上げた。
「落ち着け。しっかりと準備をしてから乗り込むつもりだ。これはもう、俺達だけの問題じゃない。銀鷲騎士団の一部の騎士も協力してくれることになった」
「本当ですか!?それは心強い!」
アカネは歓喜の声を上げる。
「一週間後!奴らの拠点に乗り込む!それまで己を磨け!」
「はッ!」
僕達はダギル大尉に敬礼した。
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僕は訓練場の施設の一つ、遠距離攻撃等を訓練するための的がある場所に来た。ここでやるのは勿論魔法の特訓。
「火属性…!」
僕の掌の上に火の弾が現れ、それを的に向かって飛ばす。魔法に名前は無い。標準的な技はあるけど、それ以外は自分で作ったオリジナル。名前が付いている魔法は、その人が作った魔法。ブルートの噴き出す炎の様な。
「風属性…!」
僕の手から風が放たれ、木製の的が揺れる。
「魔法の名前…」
僕は名前を考える。威力は重視しない、使い勝手を重視した魔法の名前…その分短い方が良いのかな…?
「ちょっと休もう…」
随分と体の重さも取れた。それでも、まだ少し体の不調は感じる。椅子に座り、汗を拭う。手を広げ、親指以外の指先に火、水、風、地の小さな魔法を生成する。
「あれ…もしかして…」
魔法を消して椅子から立ち、少し離れた場所の的の前に立つ。親指と人差し指を立て人差し指を的の方に向けると、火属性の小さな魔法を人差し指の指先に生成した。
「火属性…!」
そう言って僕は小さな魔法を放った。一瞬で着弾すると、思惑通り人の頭ほどの爆発が起こった。不可壊の付呪が付いた的が大きく揺れた。
「やっぱり…!」
さっきの魔法との違いは、強大な魔力を圧縮し小さくしていた事。それを素早く発射し、着弾と同時に魔力を開放。圧縮した分の爆発を起こした。
「この魔法の名前は…ショット…!ショットにしよう!」
僕は親指と人差し指を立てた手を見ながらそう言った。




