Ep:104 組織
「ライト!」
ブルートは痛む体を起こし、屋根から降って来たライトに駆け寄る。生け垣を掻き分けライトを引っ張り出す。
「なっ…!?」
全身が見える様になったライトの体を見て、ブルートは絶句した。その体の右半分は伸ばされた痣に包まれていた。腕も、脚も、顏さえも血の様な赤黒い痣に包まれていた。ブルートは意識の無いライトを担ぐと言った。
「噴き出す炎!!」
ブルートはライトを担いだまま、その踵の辺りから炎を噴き出し宙に浮く。そしてそのまま屋敷を去って行った。
「逃げたか…」
Kはブルートの浮いていた場所を見つめながら呟いた。
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騎士団本部の小さな会議室。ダギルはブルートに聞く。
「剣聖様は、本当に敵なんだな…?」
「あぁ、この目で見た。国王と手を組んでライトに迫る所を」
その言葉に、ダギルは黙り込む。
「明確な敵はこの国の国王、ファイント=ケーニヒと、剣聖…トイフェル=クレアシオン…そして可能性が高いのが碧竜騎士団長、ハーツ=カルトか…」
アオイは壁に背を預け、顎に手を添えながら呟く。そこに、会議中突然気絶したエルを医療室に運んでいたアカネが戻って来た。
「ライト殿が医療室に運ばれて来たのですが、何かあったのですか…!?」
「剣聖様や陛下と戦って来たらしい…ブルートが連れ帰って来てくれた…」
「そうですか…エル殿も何か関係があるのでしょうか…?」
「十中八九ある。屋根の上で何があったかは知らないが、ライトの右半身が痣に呑まれていた。偶然でこうなるとは到底思えない」
ブルートはアカネの質問に答える様に言う。
「今は、二人の回復を待って話を聞くしか無いな…」
ダギルはそう呟いた。
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その日の夜、トイフェルの屋敷は炎に焼かれた。王都の治安を守る銀鷲騎士団の人員が、必死にその炎を消そうとしていた。
「本当に良かったのですか…?」
燃え盛る屋敷を眺めていたトイフェルの隣に立つヘルツが聞く。近くに集まった野次馬は、炎に集中していて誰一人その言葉を聞いていない。
「問題無いさ。彼らとの決戦の場所は、とっくに決めてある」
そう言ってトイフェルは振り返った。その視線の先には、窓から明かりが漏れる王宮があった。
「そうですか。ディアにも声を掛けました。数日後には合流できるでしょう」
「助かるよ。この『切り札』も、随分と大きくなったものだ…IからXのNo.s、絵札の暗示のJ、Q、K、それらを束ねるヘルツ、クロウヴ、ディア、そしてスペイド…」
トイフェルは右手を広げ、それに視線を落とす。暫く見つめ、トイフェルはその手を握り締めた。




