Ep:103 落下
ライトが放った屋根の破片は真っ直ぐトイフェルの方へ飛んで行く。トイフェルは両手に持った剣を振り破片を弾く。
トイフェルが視線をライトに向けると、ライトは既に次の魔力を生成していた。掌の上に光属性の球が浮いている。ライトはそれを握り潰した。その瞬間、眩い光がトイフェルの視界を奪った。
「ククク…!」
光が薄れ、トイフェルの視界が少し回復すると同時に、その眼前にライトが現れる。トイフェルは剣を交差させ、ライトの爪を受け止める。しかし、力に押され屋根の端にまで追い詰められた。
「こレで終わりダ、人間!」
ライトはそう言うと、空いていた左手に闇属性の魔力を生成した。それをトイフェルの腹部に向けて押し付けた。
「事実上の時を統べる者」
その瞬間トイフェルの姿が消え、ライトの攻撃は宙に放たれた。
「少し惜しいが一旦退かせてもらう」
ライト以外が居なくなった屋敷の屋根の上に、トイフェルの声だけが聞こえる。
「ヌぅ…!」
ライトの身体を借りた異形の者は唸り声にも近い声を出すと、そのまま下へと落ちて行った。
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時間は少し遡る。地上では、ブルートが炎の剣を振り回し、XthやKの攻撃を凌ぐ。
「アイツはいつまで上に居る気だ…!」
ブルートは呟きながら、三人の猛攻を耐え忍ぶ。踵や掌から炎を噴き出し、高い機動力を生かした戦闘をするが、流石に三対一では分が悪い。ブルートはそう考えていた。
「噴き出す炎!」
ブルートは炎の推進力を乗せた回し蹴りを繰り出す。三人は飛び退き、間合いを開ける。
「ハァ…ッ!ハァ…ッ!」
「どうした?もう息が上がっているのか?」
Kがブルートを煽る様に言う。
「煩え!焼却!」
そう言うとブルートは、自分を中心に炎の輪の様な物を放つ。それは勢いよく広がり、防ごうとした三人を押し返す。
「素早い炎!!」
ブルートは炎を推進力に三人に肉薄し、跳び蹴りを繰り出す。しかし、サイクロンの突風によって勢いを殺され、更にフレイムの炎の拳を食らい、後方へ弾き飛ばされた。
「がッ…!」
ブルートは何とか体勢を立て直すが、既にフレイムは魔力を放った後だった。
「"フレイム"!」
そう言って放たれた巨大な焔はブルートに直撃する。当たる寸前ブルートは炎を張ったが、効果は殆ど現れなかった。
「あぐぅ…ッ!!」
ブルートは吹き飛ばされ倒れた。そこにフレイムが歩み寄り、止めの拳を振りかぶった。拳が振り下ろされ、ブルートの顔面に当たると思った瞬間、突然花壇の生け垣に何かが降って来た。
「何だ…!?」
Kは驚き、落ちた方を向く。生け垣から食み出た左腕には、フォルジュロンの籠手がついていた。




