第三章⑰【羅馬三十六景】~パンテオンでの再会~
048_第三章⑰【羅馬三十六景】~パンテオンでの再会~
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2代目のパンテオンは118年から128年に掛けて、ローマ皇帝ハドリアヌスによって再建された。
古代ローマの建築技術の博覧会!最高傑作である。
2000年以上にわたりほぼそのままの形で残っている数少ない遺構の1つである。
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♢♢♢【1852年・パンテオン】♢♢♢
「でけぇなぁ。ローマってのは本当になにもかにもでけぇ!ミケのヤツが天使の設計だ!絶対見に行けって言ってたんだよなぁ。」
目の前には神殿がある。円柱に支えられた三角の屋根。俺が生きていた時代もこのままの姿でここに建っていた。
「北斎、設計って意味わかるのか?」
「んー俺ぁ大工じゃねぇから細けぇことはわからねぇ。でもなぁ、組上絵には出来るぜぇ!」
「立体的に見えてるのか?」
「んーなんていうか、高さとか奥行きとか、平面じゃなく、ばばばーんって頭の中に浮かぶんでぃ。それを筆に乗せてるんでぃ。ちょっと待ってな。」
さらさら。さら。さらさら。
【くミあけ波テ御図六枚組】
「これを組むとパンテオンになるんだな?」
「そうでぃ!アトランティスに帰ったら作ろうなぁ!」
俺たちはパンテオン内部へと足を進める。パンテオンドームに足を踏み入れる。
「丸い。」
北斎が一言。タタタタタタ。神殿の方へ戻っていく。
「四角い。」
ドームへ戻る。
「丸い。」神殿へ「四角い」ドームへ「丸い。」
「おい!北斎!衛兵に睨まれてるぞ!やめろー!走るな。」
「……へぃ。この建物、幅と高さ同じでぃ。すげぇな。こんな綺麗な丸を石で作るなんて。」
ん?北斎が何かぶつぶつ言い始めた。
「……無理だ。この建物は俺ぁにも無理だ。立体絵が作れねぇ。わからねぇ。なんでこんなに綺麗に丸になってるんだ?なんで、崩れなんだ……。」
さらさら。ピタリ筆が止まる。
さらさら。ピタリ筆が止まる。
ビリビリ。和紙を破く音がする。
さらさら。ピタリ。さらさら。ピタリ。
北斎が何枚もの絵を空中に投げた。
「グレン……無理だ。描けねぇ。理屈が一つも見えやしねぇ……。」
北斎が目に涙を浮かべている。北斎のこんな顔は初めて見た。
「北斎、落ち着け。記録に聞いてみたらどうだ?お前ならこの建物がどうやって作られたのか見えるんじゃねぇのか?」
「だめだ。絵が浮かばねぇ……。」
北斎は項垂れて下を見ている。
床にはばらまかれた描きかけのパンテオン図が散らばっている。
「北斎、下を見るな。上を見てみろ。」
ドームの頂点にぽっかりと穴が空いている。そこから太陽の光がドームの内部を照らしている。北斎の体が光に包まれていく。
「記録……再生。」
途切れ途切れの北斎の声。
光の中に二人の姿が浮かび上がった。
「余はハドリアヌスである。北斎、よくぞ参った。テルマエぶりであるな(笑)」
ハドリアヌス皇帝!!!
「皇帝さん……俺ぁ……無理なんでぃ……この建物はなんなんでぃ?わからねぇ、理屈がわからねぇんだ……。」
「湯を愛する者よ。テルマエを愛する者よ。この図面を見ると良いぞ。このドームの設計図である。」
「図面ですかぃ?どれどれ?なるほど、ふむふむ。へぇ。こんくりの重さ大きさ厚さ、なるほど、あの大きな穴は?お?オルクス、眼ねぇ。へぇ。こりゃ難しい。」
北斎?本当にわかったのか?
ハドリアヌス様もね、北斎の横でうんうんうんうんうなずいてるけど?
「わかったぜぇええー!!すげぇな!この図面書いた人も、建てた人も、ローマ人すげぇよ!!」
「この建物は余が後世に残したいローマの技術であり、ローマの秩序である。これはローマの誇りである。グレンよ!北斎よ!余は嬉しく思うぞ。後の世にも残っているのだな……。そろそろ時間のようだ。また会おうぞ!」
そう言い残しハドリアヌス皇帝がすーっと消えた。一枚の図面を残して。
さらさら。さらさら。
まるまる。
さらさら。まるまる。
さらさら。さら。
まるまる。
「出来たぜ!!グレン!描けたぜ!!」
【堂夢図面観描成図】
「良かったなぁ!北斎。お前はやっぱり天才だ。」
「そうか?えへへへへ。天才絵師の葛飾北斎でぃ!!!」
俺たちは晴れやかな気持ちでパンテオンを後にしたのだった。
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三十景 【くミあけ波テ御神殿四角図六枚組】
三十一景 【堂夢丸図面観描成図】
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次回~ローマ人の胃袋~へ続く。




