第三章⑯【羅馬三十六景】~羅馬(ローマ)の休日再び・真実の口~
047_第三章⑯【羅馬三十六景】~羅馬の休日再び・真実の口~
コロッセオ近くのトラットリアの二階。ここが定宿になりつつある。
そう、俺がワインを押し売りされた宿だ。押し売りというのは誤解?だったみたいで、店主は実家のワインをお薦めしただけだと思う……あれから何泊かしているが葡萄酒飲み放題一泊二食50バイオッコ……だからな。
なんせこの宿は飯が美味い。
北斎が朝食のフォカッチャを気に入っているのでな。
「うめぇうめぇ!ふぉかふぉかのフォカッチャうめぇ!」
この宿はフォカッチャは毎朝店主が焼いている。
「……なぁ北斎。真面目な話やんだが、ローマにも閻魔大王がいるんだぜ。」
「もぐもぐ、えんまだいおうさまが。もぐもぐ、いるの、もぐもぐ、か?」
「フォカッチャ飲み込んでから話せよ(笑)いるよ、閻魔様。何でも罪人や悪人の手首から先を喰うらしい……。」
「なんだってぇええ!おっかねぇな。」
「今から会いに行ってみるか?」
「ちょっと恐いけど行くぜ!描かせてもらえるなら描きてぇ!」
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【サンタ・マリア・イン・コスメディン聖堂・真実の口】
「この方がローマの閻魔様だ。」
「おっかねぇ!飲み込まれそうな口だねぇ……。グレン!何やってる!?」
俺は真実の口に手を突っ込んだ。
「やめろぉおお!喰われるぞ!!おめぇは悪人?罪人?違う!大丈夫だ!手を抜けぃ!!」
「ぐぉおおお!痛いっ!痛い痛い!」
俺はシャツの袖口に手を引っ込めて隠した。
「グレンーーーー!グレンの手が無いーーーー!元剣聖のーー!腕を喰うなんてぇええ!ローマの閻魔様つえぇええ!そしてー!グレンは悪人だったぁあ!」
……北斎、悪人って納得しやがったな?
「グレンーーーー!はやくーー!回復薬をーーー!のーーめーーー!」
俺は袖口に隠していた手を出す。
「北斎!お前、俺が罪人だと思ったのかよ(笑)」
「へ?へ?無事なのか?」
「ん?安心しろ。これは伝説というか迷信というか……。ローマへ来たらこれをやるのがグランドツアーの楽しみなんです!ってアルフレッドが言ってたのを思い出したんだ(笑)」
「なんでぇ!なんでぇ!本気で心配したじゃねぇか!!」
「俺は元剣聖だ。そう簡単に喰われはしない。それにな?」
「へ?なんでぃ?」
「俺は悪人じゃねぇぞ!」
「……へぃ……。」
さらさら。さらさら。
【紅蓮北斎ニ意地悪図】
「北斎、機嫌直してアイスティー飲め。」
「アイスティーなんかでごまかされないからな?許さねぇからな?ごくごく、ごくごく。うめぇなぁアイスティー。」
……北斎、チョロい。
「グレン!あっちに菓子屋があったぜぃ!アイスティーと一緒に食いてぇから行くぞ!」
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二十九景 【紅蓮北斎ニ意地悪図】
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次回~パンテオンでの再会~へ続く。




