第三章⑧【羅馬三十六景】~コロッセオへ行くぞ!?~
039_第三章⑧【羅馬三十六景】~コロッセオへ行くぞ!?~
昼過ぎにコロッセオ周辺に着いていた俺たちは、露店をハシゴしてから、服屋で牛にハムハムされた北斎のズボンを買い換えた。また緑だがな(笑)
小物屋でお土産を買ったりして腹ごなしをしていた。
コロッセオの周りを何周したか覚えてねぇ!
【夕方・トラットリア】
コロッセオ周辺でも大規模なトラットリアに入ってみる。
ガヤガヤ。ガヤガヤ。
チーズをツマミに酒を酌み交わす人たち。
真鍮製のオリーブオイルランプに照らされた店内は橙色の柔らかい光に包まれていた。
「ここ宿もやってるんだろ?一泊空いてるか?」
「空いてるよ。2階の部屋だ。湯桶も置いてある。」
「湯桶ぇええ!風呂か?風呂に入れるのか?」
北斎がピョンピョン跳び跳ねている。江戸人は湯に浸かるのが好きなんだってよ。
「……湯桶だ。先に部屋行くか?夕食なら夜遅くでも食べられるよ。ここは深夜までやっているトラットリアだからな。湯は自分で運べよ。」
階段には獣の油で作られた蝋燭の炎がゆらゆらと揺れていた。
2階には6部屋ぐらいあるそうだが、今夜は他に泊まりの客はいないと聞いている。
二部屋取らないのか?っだって?北斎だぞ!北斎!二部屋取ったってどうせ俺の部屋に入り浸るに決まってる!(読者に向けて話してるぞ?)
部屋に入ると入口の近くに湯桶が置いてあった。床に直置き(笑)これ排水どうするんだろ?
「これが風呂……タライじゃねぇか!!!これじゃ無い!これじゃ無いんだよぉ(涙)」
「仕方ないな。」
俺は北斎のために置いてある湯桶をアイテムボックスへしまい、バスタブを取り出した。
「お前が俺の部屋でも、風呂に浸かりたいっていうからアトランティスのドワーフ親方特性の湯船にダ・ヴィンチさんの技術を詰め込んだ最新型のバスタブだ。軽量化の術式、自動湯はりの術式。排水は一旦アイテムボックスへしまえる。どうだ?凄いか?」
「とりあえず北斎一緒に湯を一回だけ運ぶぞ。」
「なんでぃ?自然に湯がたまるんだろ?」
「この技術はこっちの人にはしられちゃいけないんだ。わかるよな。だからとりあえず一回だけ運んで体を拭いてさっぱりした事にするんだよ!」
「へぃへぃ、」
「俺は部屋の家具の配置を変えたいから北斎先に湯をもらってきてくれ。」
「へぃ。」
広い部屋だな。大きめなベッドが二つ。
ひょい。片手で持ち上げて入口の方へと移動させる。
窓際にパスタブを設置する。
「いいね。この窓からコロッセオが見える。少し見切れているがな。」
「よいしょっ。よいしょっ。よいしょっ。」
北斎が両手のバケツに湯を持ってきた。
それをバスタブに入れてっと。自動湯張りスタート。
エルフ特性入浴剤、薔薇の香。を投入。
「お、俺ぁが先に入っていいか?恥ずかしいからよぉ。あっち向いててくれよぉ。」
「それ、言われる方が恥ずかしいわ!早く入れ!」
「俺ぁ烏の行水だからよぉ。ふぅううう。生き返るなぁ。死んでるけど。この湯桶ツルツルしていて気持ちいいねぇ。あ!コロッセオが見えるぜぃ!すげぇや!でけぇ!!」
「ふふふ。俺がバスタブ窓際に設置したか……ら……な?!北斎?!もう上がったのか?」
「烏の行水って言っただろうが!」
「俺も入るから少し待っててもらっていいか?」
「描いていいなら♪」
「嫌だ。あっち向いてろ。」
「へぃ。」
入浴後、バスタブを片付けベッドをもとの位置に戻してから夕食を食べるために、下の階へ降りた。
♢♢♢♢♢♢
【トラットリアの夕食】
「旅人さん、湯桶のお湯あれだけで足りたのか?さっぱりしてるようだけど。」
「あぁ、身体を隅々まで拭いたらさっぱりしたよ。」
「昔はね、ローマにもテルマエってのがあって、皆が湯に浸かれたんだよ……おっと夕食食べるだろ?パスタの仕上げしてくるから旅人さん達はこれでも食べて待っててくれ。あっちの樽葡萄酒は好きなだけ飲んでいいよ。ローマっ子には水みたいなものだしね。」
【トラットリア食堂】
夕飯時を過ぎて店内は静かだ。壁際の席で庶民服を着た四人組がチーズをツマミに葡萄酒を飲んでいるだけだった。
【トラットリア夕食】
~ポモドーリサラダ~
・トマトを薄切りにして塩とオリーブオイルをかけてバジルを散らしただけのシンプルなサラダ。
~羊肉のロースト~
・羊肉を炭火焼。バルサミコ酢ソース。
~カチョ・エ・ペペ~
・羊チーズと黒胡椒のパスタ。
葡萄酒飲み放題。
「……このフォークってやつぁ使いにくい。グレン、アレ出してくれぃ。」
「あいよ。」
俺はこそこそとアイテムボックスから2本の棒を取り出す。
「うめぇ!うめぇ!このぱすたってのうめぇ!やっぱ源内さんの店の箸は使いやすいねえ!浅草の箸屋の箸に負けてねぇな!」
「俺はフォークを使うが……俺が生きていた時代は手づかみで食べていたけどな。」
「蕎麦を手づかみで食うのか?そりゃ粋じゃないぜぃ!蕎麦はな?ちょいっと汁をつけて、こう、ズズズーーーッ!ってな!」
窓際の客が一斉に北斎をギロりと睨む。
「やめろ!やめろ!すするのやめーい!」
「へ?麺はねぇ、こうやってズズズーーーッ!ズズズーーーッ!」
ギロり。
「やめーい!早く食え。喧嘩になる前に部屋に戻るぞ。」
「へ?」
「店主。この羊肉ロースト部屋に持って上がっていいか?葡萄酒も。部屋でコロッセオ眺めながら食べたいのだが。」
ギロり。ギロり。
お客さんごめんよ!北斎には後でマナー教えておくから!
「いいよ。チーズもつけとくから部屋でゆっくりしなよ。喧嘩になる前にね(苦笑)」
「北斎!行くぞ!部屋に戻るぞ!」
「へ?ぱすたまだ途中……ズズズーーーッ。」
ギロり。
俺は北斎の首根っこを掴み、2階へと引っ張って行った。
窓際の客「あの男、凄く力が強かったね?」
窓際の客2「喧嘩売らなくて良かったよね?」
窓際の客3「あれはただ者ではない。」
窓際の客達『ほっ。』
♢♢♢♢♢♢
部屋に戻った北斎は少し不思議そうな顔をしながら何かを描き始めた。
さらさら。さらさら。
【虎取屋議論里客図】
【北斎首根掴図】
「見てくれぃ!俺ぁなんでこんなことに??」
「はぁぁ……説明するのめんどくさい。北斎、明日は明日こそはコロッセオに行くぞ!!食ったら寝ろ。」
「??ん?へぃ。」
俺は窓からコロッセオを眺めて優雅に葡萄酒を……。
「ぐがぁ!ぐーっがぁ!!ぐがぁ!ころっせ……むにゃむにゃ。」
うるせぇ!北斎のいびきと寝言うるせぇ!!
いびきと葡萄酒とコロッセオ。
夜は静かに……更け……ない!
────────────────
【羅馬三十六景】
一景 【ドワーフ羅馬鍛冶図】
二景 【羅馬牌羅呈野丘全景図】
三景 【散駒霜宿女将図】
四景 【散駒霜戦車競争図】
五景 【府羅馬野乃図】
六景 【紅蓮元老院成図】
七景 【虎取屋議論里客図】
八景 【北斎首根掴図】
────────────────
次回~コロッセオの異変~に続く。




