第三章⑦【羅馬三十六景】~フォロ・ロマーノからコロッセオへ~
038_第三章⑦【羅馬三十六景】~フォロ・ロマーノからコロッセオへ~
「はーい!北斎くーん!遅くなりましたがー本日の旅のしおりですよー!」
「へ?グレンさん?貴方まで頭がおかしくなったんでぃ?」
「……なってない。チルコ・マッシモが楽しすぎた。テンションが?上がっただけだ?気にするな?」
「なんで疑問系なんだ?(笑)」
「とにかくだ!今日はフォロ・ロマーノとコロッセオに行って暗くなる前に宿を取るぞ。」
♢♢♢♢♢♢
【フォロ・ロマーノ改めカンポ・ヴァチーノ】
モーモー。モーモー。
「牛だ!」北斎
「牛だな。」グレン
「牛だねぇ……。」北斎
「牛だ。」グレン
モーモー。モーモー。
凱旋門が半分だけ見えている。
折れずに残ってる石柱もある。
神殿の柱もある。
フォロ・ロマーノだよな。
モーモー。モーモー。
牛が草を食っている。
もう一度ゆっくり辺りを見回してみる。
フォロ・ロマーノだ。元老院がブイブイ言わせてたフォロ・ロマーノに違いない。
「北斎よ……信じられないかもしれないが、この牛の天国はローマの中心だったのじゃよ……。」
「なんで年寄りみたいな口調なんでぃ?」
「元老院風に言ってみた……。イメージだがな。俺は一介の騎士だったから元老院との繋がりは無かったんだ。だから中は見たこと無いんだ。」
「元老院ってなんでぃ?」
「有力者の集まりってところだな。実質的な政治を行っていた場所だ。」
モーモー。ハムハム。
「俺ぁのズボン食わないでくれぃ!緑色だけども!!」
「北斎聞いてるか?」
「へ?」
「北斎、何か見えたか?」
「ちょいと待ってくれ。ぐいっと腹の下に力を入れて、そしたら肩から腕に塊が流れてっと。キタ、キター!見えたぜ!」
【フォロ・ロマーノ】
巨大な石柱。大神殿。凱旋門。
いくつもの建物や記念碑が密集している。
その中に俺たちが立っていた。
「凄いな。」
俺はローマで育った。フォロ・ロマーノはその時代も国の中心だった。門の前まで行って中を覗き込んでは衛兵に何度も取っ捕まった。
声、足音、祈り、歓声。
元老院政務官達が政治の話をして、商人達は商談をしている。
神殿に祈りを捧げる者もいる。
さらさら。さらさら。
さらさら。さらさら。
【府羅馬野乃図】
【紅蓮元老院成図】
白の布をたっぷりと使った紫の縁取りのあるトガを着たグレンの図。少し年寄り。
「何で俺が元老院になってるんだよ!しかも少し年寄りって!(笑)」
「ん?グレンが中に入った事がねぇって言ってたからよぉ……。」
「そうか(笑)ありがとう。北斎。」
俺たちは牛に見送られ、フォロ・ロマーノを後にした。
♢♢♢♢♢♢
【コロッセオ】
コロッセオに近づくにつれ、街が賑やかになってきた。
「おおー!なんか江戸の下町の匂いがするねぇ!」
北斎は石畳をスキップしている。
トラットリアが軒を連ね。豪華な貴族の建物も混在している。
・ピッツァ・フリッタ(揚げピザ)
・レモネード
・トリッパ
・フォカッチャ(チーズ挟み)
露店も所狭しと並んでいる。
「お!トリッパの露店か。ミノタウロスの胃袋だと……100人前は作れる。ぶつぶつ。」
「おやじー!そのチーズが挟んであるパンを一つくれぃ!」
「フォカッチャだ。レモネード付きで5バイオッコ。おや?お客さん旅人か?おまけしとくぜ。4バイオッコでいいよ。」
モグモグ。くーっ。
「このレモネードって水うめぇな!グレンも飲めよぉ!」
「オークの串肉とミノタウロスのトリッパ……ぶつぶつ。ミノタウロスの胃袋は今は捨てられているから……ぶつぶつ。仕入れはこれくらいで……ぶつぶつ。」
「江戸にもよぉ。蕎麦や寿司の屋台はあったけどよぉ。おい!グレン!聞いてるのかーー?」
「あ。北斎。もう食ってるのか?」
「はぁぁ?おめぇ一人でずーっとぶつぶつやってたぜぃ!」
「ん。職業柄な。」
「職業柄な。じゃねぇ!!!コロッセオまだ見てねぇ!!行くぞ?」
「いや、今日は……露店とトラットリアの研究だ。ぶつぶつ。」
「はぁぁ。グレンがこうなっちまったら俺ぁには止められねぇよ。」
俺たちはトラットリアの2階の大衆宿に泊まることにして、コロッセオ周りで遊ぶ事にした。
────────────────
【羅馬三十六景】
一景 【ドワーフ羅馬鍛冶図】
二景 【羅馬牌羅呈野丘全景図】
三景 【散駒霜宿女将図】
四景 【散駒霜戦車競争図】
五景 【府羅馬野乃図】
六景 【紅蓮元老院成図】
────────────────
次回~コロッセオへ行くぞ!~へ続く。
────────────────
【カンポ・ヴァチーノ】
1852年頃、フォロ・ロマーノの発掘は本格的には行われておらず。観光案内でもカンポ・ヴァチーノ、牛の放牧場と書かれている。




