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第三章③【日本神域】~北斎、富士へ行く。~

034_第三章③【日本神域】~北斎、富士へ行く。~


閻魔大王が小野篁に連れて行かれたぜぃ!(笑)


「そういえば、北斎さんは生前富士の絵を描かれていたのですよね?」


大国主命(オオクニヌシノミコト)さま、俺に詳し過ぎやしませんかぃ?


「へぃ。富士が好きでして、そりゃもう、描いて描いて描きまくりでしたですでぃ!」


「ここから行けますよ。富士へ。」


「へ?富士へ行けるんですかぃ?」


「ええ、正確には富士の見える神域へです。富士が見える神社ですと何処へ行きたいですか?」


「……稲毛浅間神社!!俺ぁ……もう一度行ってみてぇ!!」


「ここから送り出す事は出来ますよ。北斎さんとグレンさんならその資格があると判断しました。規則ですので説明しますね。」


「へぃ。」「はい。」


「コホン。ここ天界の私の執務室はアトランティスと日本神域を結んでおります。地上の魔素は今は少なくなってはいますが……今も濃い地域が存在します。そして濃くなったり薄くなったりを繰り返しております。」


うわっ。半分もわからねぇ!!


「続けますよ?その濃い地域が日本です。日本の魔素を監視し時々祓っているのが地上の神域にいる神々です。その神々がいる神域へと送り出すことが出来るということです。神域は現実世界とは隔たれておりますので地上の人々に会うことは出来ません。それだけは覚えておいて下さいね。」


グレンはわかるのかぃ?

「はい。わかりました。」って相づち打ってるけど……俺ぁわからねぇ!!三分の一もわからねぇ!!


「ふふ。わからなくても良いのです。無理に理解なさろうとしなくとも良いのです。北斎さんにはその資格がある。それだけです。」


「へぃ。なんで資格持ちなのかはわかんねぇですけど、行けるのなら行きたいですぜ。」


「では、扉を開きます。あちらには猿田彦がおりますので案内させますね。」


執務室の壁だった所に神社の扉が出現した。

俺とグレンは神域への一歩を踏み出した。


(北斎さん、霊峰富士、そのものが神であり神域なのですよ。生前に富士を愛してくれてありがとう。)


大国主命はそれを声に出さず北斎を送り出したのだった。



【神域・稲毛浅間神社】


不思議なところだねぇ。

知っている場所の様にも全く知らない場所にも思える。

確かにここは稲毛浅間神社なんだけどねぇ……。

 

「ようこそ、浅間神社神域へ。」


天狗の様な長い鼻。背の高さ七尺。身長を越える祓い棒を持ち、狩衣を着ている。


「猿田彦様ですかぃ?!そのお姿は?」


「いかにも。ここは稲毛浅間神社ではあるが稲毛浅間神社ではない。浅間神社とは富士神域の総称である。」


「へ?」

 

「私は導きの神であるので導くのみであり、案内はするが説明はしないのだ。」


「へ?」


「私は知っている。生前、この景色を描いたのではないか?」


辺りが霧に包まれる。

霧が晴れて目の前に広がったのは浦海ッ!ここだ!ここでぃ!ここを描いたんでぃ……。


「導いたぞ?導きの神であるからな。」


高い鼻をもっと高くしている猿田彦さま。


さらさらさら。

さらさらさら。


【猿田彦大神鼻高成図】


「ん?北斎よ、何を描いている?まぁ良い。私の姿を描きたくなったのであるな。」


ぐぐっいーっ。


また鼻が高くなった。


「そこに、二つの大鳥居がある。それを二人手を取り合って同時にくぐると元の世界へと戻れるであろう……。では、またいつか会おうぞ!」


スーーッ。


猿田彦さまが消えてしまった。


「なぁ、北斎、お前の国の神様ってこう、なんていうか、個性的なんだな。」


「なんなんでぃ!なんなんでぃ!グレンと手を取り合うだってぇええ!?天罰なのか?俺ぁ何か悪いことでもしたのか?」


「まぁまぁ、それはそれでいいじゃねぇか(笑)で、北斎、描くんだろ?そのために来たんだろ?」


スーーッ。


「言い忘れた。」


「猿田彦さま?!」


「お前が、お前達が道に迷った時、行き先に迷った時、私を思い出すと良い。私はいつも側にいるぞ。それでは。」


スーーッ。


『言い忘れてたーーーーー!!』


「……。」

「…………。」

「描くか?」


「描くとするか。グレンその鳥居の手前に立って剣を掲げてくれぃ!」


さらさらさら。さらさらさら。

さらさらさら。さらさらさら。


【元剣聖登戸浦立図】


「出来たぞ。」

「出来たな。」


「帰るか?」

「帰るのか?」


「手を……繋ぐのか?」

「繋ぐのかァア!?」


俺たちは一時間後程、鳥居の周りをぐるぐる。ぐるぐる。


「行くか。」

「行こうか。」


手を取り合ってーー!


「合図はわっしょいだぜぃ!」


『わっしょーい!』


鳥居を二つくぐった先はグレンの部屋、俺ぁの万年床の上だった。


万年床の上。二人で正座。


こうして俺ぁとグレンの日本神域の旅は幕を降ろした。


なんとも言えねぇ気分になったがな(笑)



~次回、北斎、竜に乗る。~へ続く。



────────────────


【富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)・登戸浦(のぼとうら)】


手前に大きな鳥居。遠景に富士が描かれている。

その鳥居は登戸神社のものとも、稲毛浅間神社のものともいわれています。


【稲毛浅間神社(いなげせんげんじんじゃ)】


富士山本宮浅間大社から勧請したのに始まるとされている。



【猿田彦大神(サルタヒコオオミカミ)】

道を開き導く神として信仰される代表的な神。邇邇芸命(ににぎのみこと)を先導した案内役。


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