第三章②【日本神域】~北斎神様に会う(後編)~
033_第三章②【日本神域】~北斎神様に会う(後編)~
【大国主命執務室】
数分後。
「あらあら、大国主から珍しく声がかかったと思ったら……北斎さん?私北斎さんのファンですの。浮世絵全集持ってますわ。サインいただけます?」
「い、い、い、伊邪那美命さま?く、く、日本を生んだ?お、生みになられた。なんでぃ!なんでぃ!ここはなんなんでぃ!サイン?浮世絵に直筆の名を入れりゃぁいいのか?あ、いいんですかぃ?そ、それにイザナミさまって黄泉の国におられるんじゃ?」
「あらあら、あらあら、北斎さん?貴方も亡くなってからアトランティスにいらしたのでしょう?ここが黄泉の国ですわね(笑)」
「どっひゃーー!!違いねぇ!ここが黄泉の国に違いねぇ!さ、サインですねぃ!さらさらさら。」
伊邪那美命さまは真っ白な西洋服に身を包み、長い黒髪を団子みてぇに一つに束ねている。
「こりゃ美しいですねぇ!描いていいですかぃ?」
「あらあら、描いて下さるの?でしたら孫と二人の絵を描いて下さらない?」
「いいぜぃ!西洋服の神様お二方を描けるなんてこんな死人冥利なことはないぜぃ!!」
(死人冥利っ……て。)
グレンが小声で何か言ってるが聞こえちゃいねぇよ?
さらさらさら。
さらさらさら。
【大国主命兎伊邪那美命西洋服降臨図】
「素晴らしい!素晴らしい!大国主もそう思いません?これを東鳳屋に頼んで浮世絵にしていだきませんこと?ふふふ。いいアイデアですわ!」
伊邪那美命まさ?
「でしたら!イザナミ様、スサノオ様のヤマタノオロチ退治も絵にしていただいて、フィギュアも作って……。フィギュアも!!」
大国主命さま?
「大国主!いい、アイデアですわ!ヤマタノオロチ退治は絵になりますわ!立体になったあの子もさぞかし凛々しいでしょうし。」
お二方ーーー!なーに言ってやが……言っておられになられるので?
グレン助けて!
グレンは窓の外をぼーっと見ている。ソレ、現実逃避って言うんだよなぁ?俺ぁも……。したい……。
「あ、北斎さん、この絵実体化出来ますか?」
大国主命さまー?!いきなりッ!
「……へぃ。出来ますぜ。」
ぽんっ。
【大国主命兎伊邪那美命西洋服降臨立体像】
「おおお!これはフィギュア!!ファイの部屋で見かけて欲しかったフィギュア!限定販売買いそびれたのですよ(涙)」
大国主命さま?限定販売に並ぼうとなさってましたのですかぃ?
「あ、これ、箱に入れないと半月後には消えますぜ?」
「知っている。ダ・ヴィンチに頼んで作ってもらう事としようではないか。後で天使を呼び伝達しておこう。」
大国主命さま急に威厳?
笑っちゃだめだ。
笑っちゃだめだ?
笑っちゃだめでぃ!!
♢♢♢♢♢♢
【一時間後】
俺ぁはソファに座り、正面席にはイザナミさまとオオクニヌシさま。
グレンは窓際から一歩も動いていない。ふっ。流石の元剣聖の精神力でさぁね?!
俺ぁは……お二方の質問責めにあってますぜ?
イザナミさまが持参なさってた浮世絵全集と俺ぁが持ってた【北斎漫画】片手に……
この絵にはどんな背景があります?この絵にはどんな意味が?この絵は?この絵は?
その時、執務室の扉が静かに開いた。数十センチの扉のすき間から大きな目がこちらを覗き込んでいる。
ひょっこり。
「ここに北斎がおると聞いて。」
グレンが移動速度MAX!0.1秒で扉へと走る。
「閻魔さまーー!良いところに!こそこそこそ。」
閻魔大王?何やらグレンが耳打ちしてるが……閻魔大王は腰をぐいっと曲げて顔の高さをグレンに合わせている。
閻魔大王が部屋に入ってきた。頭が天井に着きそうなぐらいに大きい。
「北斎、深川えんま堂の閻魔像の絵を書いたのか?グレンから聞いたのだが。」
「おおおお!えんまさまだ!そのまんまじゃねぇか!!」
────────────────
【深川えんま堂・閻魔大王】
顔は赤みを帯び、鋭い目と強い眉。冠をかぶり笏を持つ。背丈は1丈(三メートル)。
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「えんま様!えんま堂は俺ぁの生まれ故郷、馴染みの町にあったんですぜぃ!ガキの頃から通いつめて描いてましたぜぃ!」
グレン?閻魔大王の後ろに隠れてるのか?姿消えてるじゃねぇか(笑)
「あらあら、閻魔さん。いらっしゃい。クッキーと紅茶ありますわよ。ゆっくりしていってくださいね。」
イザナミさま?閻魔さま大きすぎて入口と執務机の間に挟まってますぜ?イザナミさまは執務机の上にクッキーと紅茶を置いた。
紅茶カッブ?器がお猪口ぐらいの大きさに見える。クッキーは閻魔大王の親指の爪ぐらいの大きさか?
さらさらさら。
さらさらさら。
【閻魔大王挟机図】
「皆!これ見やがれ!あ、見て下さいでございますです!」
閻魔大王が扉と机に挟まっていてグレンが閻魔大王の脇の下あたりから顔だけを出している図だ。
「ここにいたのですか?閻魔大王様。探しましたよ。」
廊下から閻魔大王の後ろから声が聞こえている。
グレンがハッとした様子で閻魔大王の脇の下から部屋へ入ってきて片手で執務机を少し奥へとずらす。
グレンの馬鹿力め!!出来るなら最初からそうしやがれってんでぃ!
「篁か。北斎だよ?北斎。街で噂の北斎だよ?会ってみたいよね??仕事をサボってるわけじゃないからね?ね?」
閻魔さま……サボってやがっ、おっと、サボってらしたんですねぇ。
ん?篁?冥府の王に篁?もしや?小野篁?おののたかむらーーー?
俺はいてもたってもいられずに小野篁へと歩み寄る。
「あのー、もしや、もしやの小野篁さんでは?平安時代……の?」
「はい。私が小野篁ですよ。」
「ひぃぃー!俺ぁ、生前、篁さんの歌を絵にしてるんですぜぃ!」
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【百人一首姥がゑとき 参議篁】
「わたの原 八十島やそしまかけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人あまの釣舟」 参議篁
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「あらあら、あらあら、大きな方々がお揃いで(笑)」
伊邪那美命様がニコニコしてこちらを見ている。
確かに!でけぇ!みんな、でけぇ!
約5尺7寸(175cm)ぐらいのグレン。
6尺越えの小野篁(190cm越え)
1丈越え(3m越え)の閻魔大王。
約5尺9寸(180cm)ぐれぇの俺。
これは描かずにいられねぇ!
俺ぁもちょいと中に入りますか?
【閻魔大王ト大男衆図】
俺ぁの小野篁さんへの質問の波は止まる事なく。
そして、イザナミさまとオオクニヌシさまから俺ぁへの質問も止まる事なき様子でして……。
閻魔大王とグレンは入口でなにやら立ち話。
これいつまで続くんですかね?
~次回!北斎、富士へ行く。へ続く~




