②【北斎外伝・剣聖グレン物語】~冒険者稼業~
029_②【北斎外伝・剣聖グレン物語】~冒険者稼業~
串肉をツマミに北斎と酒を酌み交わす夜。
「で、グレンはアトランティスで冒険者なったんだろ?冒険者っておもしれぇのか?」
お前も一応冒険者だろうが!!
「ったく……お前、確か……新人講習受けて無いんだったな。アトランティスの転生の仕組みどれだけ理解してる?」
「ぬぁ?確か四十九日の間に生まれ変わるか、成仏するか、おめぇみてぇに不死になるかを選ぶんだろ?確か神様ってのが……。」
さらさら。さらさら。
【神様乃図】
真っ白な部屋に白い衣を纏った老人。仙人の様な姿。杖を持っている。
「生前、古事記の神様を描いたことあるけどよぉ。全然違うんだねぇ。」
「中央塔にはニッポンの神様がいるよ。オオクニヌシノミコト様とイザナギ様だ。」
「いつか会ってみてぇなぁ……。」
「四十九日の間には閻魔大王の裁きもあるぜ。お前は受けなかったのか?」
「なんだってぇ!!!閻魔さまもいるのかぁ?!会ってみてぇ!会ってみてぇ!で、閻魔様ってのは、こんな感じか?」
さらさら。さらさら。
【深川えんま堂・閻魔大王】
顔は赤みを帯び、鋭い目と強い眉。冠をかぶり笏を持つ。背丈は1丈(三メートル)。
「北斎、閻魔様、このまんまの姿だぜ。時々街中にいるからそのうち会えると思うぜ。」
「俺ぁ、会ったことねぇ。実際会って描いてみてぇもんだ。で、その冒険者になったんだな?」
俺は冒険者になった頃の話を北斎にすることにした。
♢♢♢♢♢♢
【千年以上前・冒険者ギルド受付】
「初心者講習の受付でぇす!グレン・アントニオス様ですね。」
「ただのグレンでいい。」
「はぁい。グレンさん、先ずは先輩冒険者と組んで訓練の後。簡単な異世界へ行っていただきますねぇ。えと、冒険者ギルドカード登録しますね。」
────────────────
グレンステータス
LV:120
HP:3050
攻撃力:1360
防御力:1620
素早さ:6470
精神力:10020
運:4000
パッシブスキル
・ブレイブハート(精神力依存のスキル、ひるみにくくなる。)
スキル
・鑑定
・アイテムボックス
────────────────
俺が紹介されたのは……
ヴォルフガング……ゲルマン民族の騎士だった男。
「お前ー!ローマの騎士だったのかー?大変だったなぁ……俺たちは基本傭兵だから国の理屈はわからんが。」
ひげもじゃの顔にがっちりとした肉体。革の冒険者服に背中には大剣。大きな盾を持っている。
「うげっ。トラウマがぁ!」
「まぁまぁ、お互い死んだんだ。俺は戦で。お前は?」
「流行り病だった……。」
「地上でのもつれは水に流して、冒険者稼業頑張っていこうじゃないか。」
「ヴォルフガングと言ったか?お前はそれでいいのか?俺達ローマ兵はお前達の仲間もたくさん殺してきた。」
「生まれ変わったんだ。それでいいじゃないか?冒険者になれば死なないと聞いている。俺達の力が世界の役に立つならやってみてもよいのではないか。」
ニコニコ笑いながらそう話すヴォルフガングを俺は憎めなかった。もしかしたら俺達の軍の誰かを殺してるかもしれない……その男を。
「……そうだな。生まれ変わったんだ。」
「新人講習なんだが、お前剣を使えるよな?だったら免除されるはずだ。」
「剣も槍も使えるぜ。盾は持ちたくないなぁ……。」
「だったらパーティー戦の基本。俺が盾役、お前が攻撃役だぞ。」
「二人で?」
「そうだ。回復薬、エルフの作る薬は怪我を一瞬で治してくれるんだ。二人で魔物に挑んでも大丈夫なはずだ。適正異世界はギルドが選んでくれる。」
♢♢♢♢♢♢
【第458世界・コランダム】
見渡す限り荒れ果てた大地が広がっている。ゴツゴツとした岩肌。生き物の気配は無かった。
俺はというと、全身革鎧……カッコ悪い。初心者冒険者への支給品だ。剣は魔鉄で出来ていて少し重いが良い剣に見える。これはヴォルフガングが使わなくなった剣を貰った。この世界の魔物は普通の鉄剣では切れないらしい。
♢♢♢♢♢♢
「ちょっと待てやーい!グレン。ぷぷぷ。お前が全身革鎧だとぉ!?魔鉄の剣だとぉ!おめぇが!おめぇが初心者!!」
さらさら。
「描くな!描くな!!話を続けるぞ!」
「へぃ!」
♢♢♢♢♢♢
ん?あっちの方に紫の靄がかかってる。
不思議そうにしている俺にヴォルフガングが声をかけてきた。
「お?グレン。お前にも見えるのかー?アレは魔素と言って集まって濃くなると魔物に変わるのだ。冒険者にとって魔素が見えるか否かは生死に関わってくる。お前にその力がなければ大人しく輪廻へ戻れと言っておったぞ(笑)」
「ヴォルフガング!試したのか!!?」
「この世界の魔物など俺が討伐してやる。来るぞ!!」
紫の靄が一点に集まってくる……。
ちょこん。
ん?30センチぐらいか?小さな石人形が現れた。
「ロックゴーレムだ。グレン切ってみろ。」
「おう。」
コツン。
ガシャン。
「おお!割れた割れた!」
「お前、鑑定スキル持っていたよな?鑑定してみたらどうだ?」
【鑑定・小石】
小石って……?
紫の靄がまた集まってくる。ロックゴーレム。
次。ロックゴーレム。次。ロックゴーレム。
アイテムボックスには小石が貯まっていった。
「グレン、小石は素材としては売れないぞ?」
「いいんだ。記念だからな。」
少しずつ魔物に変化するタイミングが掴めてきた。
紫の靄。少し濃いんじゃないか?
「今だ。鑑定。」
【鑑定・アイアンゴーレム】
「グレン!それは鉄だ!売れるぞ。」
ガッシャーン。
ポトッ。
【鑑定・鉄】
ガッシャーン。ポトッ。鉄。ガシャン。ガシャン。ガシャン。ガシャン。ガシャン。
鉄が数十個貯まった頃。大きな靄の塊が目の前に現れた。
【鑑定・シルバーゴーレムになるかもしれない塊】
次の瞬間。体長2メートル程のシルバーゴーレムが目の前に現れた。
なるほどな。シルバーか。たぶん一撃では無理だろうな。
ドンッ。
「グレン!何、ぽーっとしてる!?シルバーは攻撃してくるぞ!」
ドンッ。ヴォルフガングが盾でしのいでいる。
とりあえず攻撃入れてみるか。
キーン。
攻撃が通らない。
キーン。キーン。
弾かれている。
シルバーゴーレムの攻撃は単純なものだった。
腕を振り回す。それだけ。
攻撃をかわしながら、剣を振り下ろす。
シルバーゴーレムをよく見てみると、関節の色が違う。そこだけ黒くなっていた。
関節に目掛けて剣を横に振ってみる。
スパーン。
シルバーゴーレムの腕が地面に転がった。
スパーン。ズババーン。スパーン。
手足の無い銀の塊。
「これで最後。」
俺はシルバーゴーレムの額の赤い石を突き刺し割った。
「グレン、よくわかったな。その赤い石が核と呼ばれる場所だ。ゴーレムには必ず核がある。」
【鑑定・銀(良質)】
1時間ほど銀を採取したところで、ヴォルフガングがある提案をしてきた。
「あっちに安全地帯がある。そこで夜営してみないか?」
「安全地帯?」
「ダークエルフの結界が貼ってある。魔物は寄ってこない。」
「夜営道具なんて持ってないぜ。」
「何を言ってる?ギルドで初心者冒険者セット貰っただろうが?」
「……中身まで見てない。」
「鋭いんだか、鈍いんだか(笑)」
俺達は岩場の洞窟で夜営することになった。
♢♢♢♢♢♢
ツマミが無くなったな。俺はアイテムボックスから、エールと燻製肉を取り出した。エールはちゃんとキンキンに冷えてるぜ。
「グレン、聞いていいか?結界ってアレだろ?忍者が貼っていた魔法道具の?なんでぃ?安全地帯って?」
「アイテムとしての結界魔道具は後に発明されるんだよ。この時代は各異世界にたまに設置してある安全地帯の結界しかねぇぞ。」
────────────────
♢♢♢美術館展示品♢♢♢
【神様の図】
【深川えんま堂・閻魔大王の図】
【革鎧・グレンの図】
【ゴーレムの絵手本】
次回~初心者グレン強敵に挑む~に続く。




