①【【北斎外伝・剣聖グレン物語】~ローマ帝国の騎士~
028_①【北斎外伝・剣聖グレン物語】~ローマ帝国の騎士~
~1852年、嘉永五年~
北斎がアトランティスへやってきて三年後。
【冒険者ギルド3階・グレンの部屋】
「なぁグレン、おめぇ、元剣聖なんだろ?生きてる時ぁ何やっててんでぃ?俺ぁ、ずっと絵描きやってるぜぃ!」
「知ってるわ(笑)長くなるけど聞くか?」
「描いていいななら聞くぜ?」
「いいだろう。俺の昔話をお前に描いてもらうのも面白いかもしれん。」
グレンはゆっくりと話し始める。
♢♢♢♢♢♢
西ローマ帝国末期。
ゲルマン民族の侵入により皇帝の権威は失墜し、騎士達はそれぞれの戦場で命懸けの戦いを強いられていた。
その中の一師団長が34歳になったばかりのグレン・アントニオスである。
♢♢♢♢♢♢
「グレンはどんな姿をしていたんだ?」
「そうだな。顔や体つきは今とほとんど変わってない。布の服に簡単な革の防具、肘当てや肩まわりにな。大きな盾を持って剣を振っていた。槍も使えたぜ。」
「げるまんってのは?」
「スケイルアーマー(うろこ鎧)を着ている兵士が多かったな。鉄を竜の鱗みたいに布に貼るんだよわかるか?」
「んーなんとなくわかるぜぃ!」
露ろ
さらさら。さらさら。
「ゲルマンってのはこんな感じか?」
「すげぇ。これだけの説明でこんなに正確に描けるもんなのかよ!?」
「いめーじ?ってのかな。大きな鍋とヤリ合ってから、こうなんてぇか……浮かぶようになったんでぃ。それに竜の鱗だろ?竜人の鱗みてぇに描いてみたぜぃ!」
「北斎、ゲルマン兵士は実体化させるなよ?トラウマなんだよ!トラウマ……。アイツら恐いからな……数の力で圧してきやがる。」
「大軍と大軍の戦なのか?」
「大軍同士の戦いもあるにはあるが……囲んでくるんだよ。地形を利用してな。こちらは遠征軍。ある程度の数はあるが、囲まれたら身動きとれないぜ。」
「ふむふむ。桶狭間の戦いみてぇなやつか。」
さらさら。さらさら。
「出来たぞ。これでどうだ?」
「げるまん、グレンの軍を囲む図でぃ!」
「うげっ。トラウマが甦るわ!やめてくれー!」
「おめぇが話し始めたんだろうが!(笑)」
♢♢♢♢♢♢
【げるまん、グレンの軍を囲む図】
森の中で騎馬隊を先頭にローマ兵が隊列を組んで進んでいる。
ゲルマンの集団が今にも襲いかかろうとしてる図。
♢♢♢♢♢♢
「俺は生き延びたそ?隊は壊滅して、俺も気を失っていた……がな。」
さらさら。さらさら。
「グレン、逃げ帰るの図!」
「うげっ。うげげ。そのまんまじゃねぇか!!その一年後だよ。俺は病で死んだんだ。」
「グレンにもそんな弱ぇえ時代があったんだな。」
「……そうだな。隊を守ることは出来なかった。この世界に来たときにな。守るだけの力をつけようと誓ったんだ。」
「へぇえ……俺にはわかんねぇ世界だ。」
「お前はそれでいい。ずっと描いてろ(笑)」
「で?こっちにきてどうなってんでぃ?」
「それは……。」
~グレンの冒険者デビューに続く~




