北斎漫画⑩~閑話・ドワーフと小人の版画制作~
023_北斎漫画⑩~閑話・ドワーフと小人の版画制作~
【版画工房・ドワーフ】
東宝屋の一角にそれは作られていた。
ドワーフが使いやすいような高さの机が置かれていて、畳に座らなくても作業が進められるように配慮されている。
「おーい!その絵をーー!錬金釜へ入れろーーー!」
「おーう!」
いわゆる版下絵には魔導印刷の技術が応用されている。
「なんでー印刷出来るのにこんなめんどうなことーーをーするんだろ?」
「なんかなー味があるらしいぞ!版画の浮世絵って。」
「味?肉の味か?」
『その味じゃないから!!』
版下絵が出来たらそれをドワーフ彫刻師が木に掘っていく。繊細な作業ではあるがドワーフ彫刻師にとっては日常の仕事である。
こうして出来上がったのが主版。
同じように錬金釜から色下絵が出来上がってくる。
その色下絵を一枚一枚掘っていく。
「掘ってー!掘ってー!また掘ってーー!」
トントントントン。
「俺たちードワーフ!彫師ーー♪彫師♪掘って♪掘って♪」
トントントントン。
こうして出来上がった版板は次に小人の摺師へと渡される。
【版画工房・小人】
版画一枚の大きさは小人にとってはとても大きい物に思える。
色板に色を乗せていく。
「青は俺!」
「赤は俺!」
「白はおれ!」
「黒はオレ!」
色ごとに班にわかれているようだ。
「せーの!」
小人四人が紙の四隅を持ってぴょんと飛び跳ねる。
色板の見当といわれる目印に併せて紙を置くのだ。
「上手くいったな!おーい!バレン班!!」
「はーい!行くぞーーー!」
自分の体ほどある大きなバレンを両手で紙に押し付けると……
タタタタ。
トコトコ。
タタタタ。
トコトコ。
「カスれやにじみがないようになーーー!」
タタタタタタタタタタタタ。
トコトコ。
この作業を何回も繰り返し、一枚の版画が出来上がっていくのだった。
こうして作られた版画は「味のある絵」というキャッチコピーで源内の便利屋にて売り出され、アトランティス全土へと広がっていくことになる。




