北斎漫画⑦~竜人街・大店~
020_北斎漫画⑦~竜人街・大店~
【不動産窓口】
「北斎さん?またですかぁ?まぁ今回は1ヶ月以上住んでいただけましたのでぇ。上出来!上出来。でぇ?次はどちらへ?」
「へいへい。竜人街へ。」
「あ、それなら良い依頼が来てます♪先ずは源内さんの便利屋でお話を聞いて下さいねぇ。今回は当不動産商会は関与出来ない案件ですので……」
「なんでぃ?」
「いえいえ、こちらの話です。とりあえず源内さんの所にぃ!わかりましたねぇ?」
「……へぃ。」
♢♢♢♢♢♢
「源内さん。来てやったぞ。また看板の依頼か?」
「ちげぇよ。竜人街大店からの依頼だ。お前、浮世絵を描いて見る気はないかい?」
「浮世絵!?あるのか?この世界にも!!」
「ある。ちゃんと版元もいるぜ。」
「版画なのか!?よっしゃぁ!わっしょーい!」
「わっしょい!はちと違わねぇか?それだけ嬉しいんだな(笑)」
「家は大店が用意してくれるそうだからよ、腰をすえるつもりで仕事してきてくんねぇか?」
「……まぁ、いいけどよ。」
「お前、大店の店主に会うならその格好はいただけねぇな。ウチにある上物の着物で行くといいぜ。ちなみに30万アトな。まいどあり!」
「へぃへぃ……。いいけどよ。いいけどよ。オーバーオールって動きやすいんでぃ……。」
「そうだ。ついでにアイテム鞄も買っていかねぇ?安くしとくぜ。オーバーオールしまっておけるぞ?」
「……買う。いくらだ。」
「ふふふ。50万アトだ。」
「おい、源内さんよ。お前が悪徳商人に見えて仕方ねぇよ……だがよぉ!字引ありがとうな。助かってるぜ。」
「いいってことよ。俺がな……こっちに来たときに苦労したからねぇ、後から来る江戸人には苦労して欲しくなくてね。」
「本当に助かってるぜ。で、大店だったな?絵地図にあるよな?」
「あぁ、東鳳屋だ。行ってみてくれ。」
♢♢♢♢♢♢
【竜人街】
赤門の先に広がっていたのは……
(江戸?いや、違うな。町屋や長屋がねぇ。)
白い漆喰の壁の家が建ち並び。
黒瓦……
石畳……
商家はあるが……一見すると武家屋敷みたいじゃねぇか?
さらさら
さらさら
「おや?見ない顔ですねぇ。私は概眼この町で役者をやってます。」
「俺ぁ、葛飾北斎、絵師でぃ!」
「おや?絵師様ですか?それでは東鳳屋へ?」
「何で知ってるんでぃ?」
「いやね、1ヶ月ほど前に源内さんがいらっしゃいましてねぇ。ニッポンのエドで流行ってる浮世絵の絵師がこちらに転生してきたから、版元を東鳳屋が、彫師、 摺師も手配してきたとか。噂になってるもので。」
「なに?源内さんの仕掛けだったのかぁ?(笑)」
「彫師はドワーフが、摺師は小人族が担当するそうですよ。」
「ちっ。源内先生の手のひらの上ってわけか(苦笑)ところでガイガンさん。その姿描いてもいいかい?粋だねぇ。」
概眼は。色白の肌に赤い瞳。角と鱗で覆われた尻尾があるだけで人とほとんど変わらねぇ姿をしていた。
「残念ですが……描いてもらいたいんですがねぇ。これから出番の芝居がありますので。機会がありましたら見に来ていだだけると。そのときはたくさん描いて下さい。」
「おうよ!わかったぜ。ところで東鳳屋ってのは何処にあるんだ?」
「おや?目の前に。」
「これがぁあ!!城じゃねぇの?」
でっけぇ門。
木造なのに10階建てはある?立派な建物が門の前からでも見えるのだが……
「こちらは遊廓も兼ねておりますので……」
「ゆ、ゆ、遊廓だってぇ!?聞いてねぇぞ。」
「旦那様がお待ちでしょうから早く行かれた方がよろしいかと。私は向かいの芝居小屋におりますので。」
「へいへい。では行きますか。描きてぇがここは我慢のしどころってやつだ。」
俺は門の中に足を踏み入れた。
そこには別世界が広がっていた……
~東鳳屋の依頼~へ続く。




