北斎漫画③~葛飾北斎自分の財産に驚愕する~
016_北斎漫画③~葛飾北斎自分の財産に驚愕する~
獣人街から水路にかかる橋を渡るとそこは【中央エリア】と呼ばれる場所だった。
江戸で言うところの大店が軒を連ね、道幅も広くなってきた。
中央塔を中心に大通りが放射状に伸び、正面口の前には大広場。その広場を囲むように大きな建物、その建物の前に屋台が並んでいる。
冒険者ギルドの前にグレンの屋台があった。
『おう!グレン!』
「なんだ?ライガと北斎じゃねぇか。知り合いだったのか?」
「さっき、獣人街で知り合ったんだよ。で、なんなんだ?このニホンジンは!挨拶もそこそこに俺の絵を描き始めた……。」
「北斎だからな。諦めろ(笑)ところで北斎!聞きたいことがあったんだ。俺と合流する前、お前、何をしたんだ?冒険者ギルドが大変なことになったんだから……。」
「ん?てぇと?」
「だーかーらーお前が持ち込んだ魔物素材の仕分けと、売り先探すのにギルド総出で丸1日かかったんだよ。お前、本当に何をしでかしたんだ?」
「ぁあ。波か。ん、何千か?ぐらいの魔物が俺が描いた波に飲み込まれたけど?」
「……?!!!」
「っでもよ?素材ってのは集めてないぜ?忍者と武士が半日程、走り回って何かを拾ってた様だったがな。俺ぁ景色描いてたから良く見てねぇや。」
「お前なぁ……冒険者ギルドの仕組みわかってんのか?倒した魔物は倒したヤツのモノになるんだよ。つまりな素材を持ち帰って換金してお金にするんだよ。」
「知らなかった。」
「知らなかった!じゃねぇ!!!忍者は希少なアイテムボックス持ちなんだよ。お前が倒した魔物素材をお前名義で持ち込んで来たんだぞ?全部!ぜ、ん、ぶ。拾うのがどれだけ大変だったか……わかってんのか?」
「……?!!ああ……。」
「ああ!?じゃねぇえええええ!!ちょっと冒険者ギルド受付行くぞ。ライガお前も一緒にな。」
【冒険者ギルド・受付】
「あ、グレンさんいらっしゃい!ライガさんも!そちらの方はぁ?」
「……北斎だ。」
冒険者ギルドが一斉にざわめき出す。
(北斎さんだって!)
(北斎さんだよ……)
(うわぁ……)
「……!!ほ、北斎さんですね。ほ、本日のご用は?そ、素材の持ち込み……じゃないですよね。依頼を受けられるのですか?」
筆を取り出そうとしてる北斎の腕をパシンと叩き、グレンが話し始める。
「あのさぁ。北斎が!自分のしでかしたことよくわかってないみたいだからよ。今持ってる北斎の財産を紙に書き出してやってくんねぇか?」
受付嬢がニヤニヤ笑いながら
「そうしますねぇ!」
ギルドにいる者全員が受付嬢に視線を向けた。
「発表します!!!2億7300万アト!!アトランティスではそうですねぇ?20年は遊んで暮らせますねぇ。本当は個人情報なんで伏せなくちゃぁいけないんですけどぉ。北斎さん、全然、ぜーんぜん、自分の立場お分かりでないようですのでぇ!ギルド権限で発表させていただきましたぁ!!」
「え?俺ぁの金?」
「まだお分かりで無いようですね?キングやジェネラルを含む5000を越える魔物の魔石。ドラゴン素材まであったんですよ!!!」
「……俺の絵が、倒した様な気もする。」
「と、とにかくです!北斎さんはアトランティスでもトップクラスの魔物殲滅能力と財産をお持ちなんですー!!わかりました?ね?ね?」
「えええええええ?そうなんでぃ?ええええええ?」
【冒険者ギルド・会議室】
俺とグレンそして、ライガの三人は会議室にいる。
グレンから大切な話があるそうだ。
クッキーと紅茶を受付嬢が運んできた。
「あのな、北斎。少し気になってたことがあったんだよ。アトランティスで描いた物は実体化しないのか?」
「あーそれねぇ。しねぇみたいだな。竜や髑髏はこっちに帰ってきてからも描いてるが、実体化したことはねぇ。だがな……おもしれぇことがわかったぜ。」
「面白いこと?」
「ちょっとそのクッキー?描くぜ。」
さらさら
皿に乗った大量のクッキーが「実体化」した。
「ええええ!?……食いモンの実体化だと?!そんなこと出来てしまったら…俺の商売が!商売が……」
「まぁ、食ってみろ。」
「味が…………しない。」
「そういうこった。実体化するものとしないもの。実体化してもそのまんまじゃねぇってことだな。」
「……一度冒険者ギルドで調べさせてもらえるか?」
「いいぜ。協力はする。」
「は、する?」
「ギルドの内部ってのを隅から隅まで描きながらだな(笑)」
「……それは許可する。でな、ライガ、その実験にお前も付き合って欲しいんだよ。ギルドの地下の訓練場を使わせて欲しい。」
「ああ、冒険者新人講習を1日休みにする。明日でいいな?」
「新人講習ってなんでぃ?」
「お前なぁ、北斎!!お前講習を受けないで異世界行ったのか?……まぁ、いい……いい……ライガは新人講習講師もしてるんだ。」
「へぇ。」
「へぇ、じゃねぇ!!この話は今夜ゆっくりしてやる。俺の部屋へ泊まるだろ?ライガもいいか?」
「大家の女将さんの晩飯……。」
「源内さん情報網経由で大家には知らせとくから泊まってけ!」
「……へぃ。」
今夜はグレンの部屋に泊ることにして、明日は冒険者ギルドの隅々まで描くぞと少しワクワクしてる俺なのだった。




