第592話 貴族連合会議、開催間近のブレイクタイム!
「……公女殿下、御尊顔を拝し、恐悦至極に存じます」
「貴女がクロア様ね!
まあ、本当に大導師だったソロア様にそっくり!
ナタリア夫人の護衛、頑張ってくださいな。陰ながら応援しているわ」
「ありがたき御言葉……」
ーーー部屋の外で待機していたクロアちゃんを中に呼び、まずはメアリ様と初対面。
さすがに魔術で発展したアーメリア公国のお姫様だけあって、
「……わあ、こうして実際にお会いすると、ものすごい魔力ね!
その若さで、そこまでの域に達するには相当の修行と基礎鍛錬を繰り返したコトでしょう……魔術師の端くれである私でも、それくらいは理解ります。
きっと、苦労されてきたのでしょう?」
「……まあ、そうですね。
ですが今は、ナタリア奥様やマスターが居ますので」
「ふふ、そうなのですね。
例え血は繋がっていなくとも、心で繋がっている……それがスターレイム一家の絆の在り方、なのでしょうね。うらやましいわ♪」
クロアちゃんがタダモノでないコトや、これまでの生き方を何となく察せられる辺り……メアリ様は普段から、他者への観察眼に優れた女性なのが、私にも何となく分かった。
「(ここのところ、三番目のお兄様と疎遠気味なのも……影響があるんでしょうね……)」
ーーーこんなに可愛い妹が居て、一回り以上も年下のエリザお嬢様っていう婚約者まで居るのに……一体、何を考えているのかしら、大公家の第三太子様は……。
と、私がメアリ様とクロアちゃんの邂逅を微笑ましく見つめていると、
「うふふ。
役者は揃ったようですわね♪」
「あっ、ママ!
……じゃなくて! ……マリー様」
「お久しぶりですわね、ディケーさん♪」
今回の内偵作戦の立案者であるハルバード公爵家夫人のマリー様が、戦装束でもある魔術協会の制服に身を包み、優雅にメアリ様の部屋へと現れてーーー
「いらっしゃい、マリー夫人。
お待ちしていたわ♪」
クロアちゃんを見てキャッキャしていたメアリ様が、ひょっこりとその影から顔を覗かせつつ挨拶すると。
「ーーーメアリ様。
このような機会をいただき、ありがとうございます。
先祖代々、大公家にお仕えするハルバード家の女として、御家の内情を探るような真似をしでかすコト、大変心苦しく思う所存でありますれば……」
「いいえ、マリー夫人。
第一公女である私自身が人を使って内偵など行えば、お父様やお兄様方……我が大公家の間に亀裂が生じる可能性もあります。
特に、三番目のお兄様とは……」
ーーー公女然とした凛とした雰囲気で、マリー様と向き合うと。
「……しかし、宮廷内で何かよからぬ闇が蠢いているのであれば、私とて大公家の一人、決して見過ごせません。
本当に邪教団とやらが貴族内部に信奉者を集めているのか……三番目のお兄様と聖庁、聖女護衛団のよからぬ繋がりはあるのか……まずはそこをハッキリさせなければ。
私は表立ってのサポートは出来ませんが……貴方がたが夜間に行動しやすいよう、事業の出資話などで数人くらいの気は引けるでしょう……頼みましたよ」
「はい、心得ておりますわ、メアリ様」
「……万一がありましても、公女殿下の名は決して口にしないと、お誓いいたします」
マリー様とナタリア様は共に恭しく頭を垂れ、作戦成功を誓うのだった。
そうして、釣られるようにして、クロアちゃんと私も、自然とメアリ様に対し、一礼していた。
「(ミーハーな姫様かと思いきや……なかなか人が出来てんじゃねーか、マスター)」
「(そりゃ、私に爵位と領地をくださった方だもの……当たり前よ、クロアちゃん)」
「(おう、だったな)」
クロアちゃんと念話でそう呟きあいながら、これからあと数時間後に本格的に開始される作戦に、思わず胸が熱くなる。
うーん、ついに始まる! って雰囲気になって来ましたやんか……!!
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「貴族連合の会議が始まるのはお昼からですし、少し時間がありますから……久々に二人きりでゆっくり出来ますわね、ディケーちゃん♪」
「うん、ママ……」
ーーーそして、私が大公家のゲストルームで何をしているかと言うと。
『ナタリア夫人、ちょっとディケーさんをお借りしますわね♪』
メアリ様との話が終わり……さあ、お昼からの貴族連合の会議にまずは備えなきゃ、と思っていたトコロ。
マリー様に手を引かれて連れ出され、公爵家以上の上位貴族専用のゲストルームでマリー様と二人きりになった私は。
久しぶりにマリー様のマリパイに制服越しながらも顔を埋め、子供返りした「ディケーちゃん」と化し……これから始まるスパイ大作戦前の、少しばかりのリラックスタイムとばかりに。
「ディケーちゃんは何にも心配しなくていいのよ。
ぜーんぶ、ママに任せてね♪」
「うん、ママ……がんばってね……」
「うふふ♪ ええ、もちろん」
脳髄を蕩かす甘く優しい声を聞きながら、優しく頭を撫でてもらい……甘えに甘えていた!
……大人だって、たまには誰か甘えたくなる時があるじゃんね!?
某赤い彗星のシャアだって、アクシズ落とす前にナナイに甘えてたし、いいよね!!




