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20代最後のゲイのエッセイ  作者: 赤井獺京


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自分は主人公じゃない、自分はヒーローになれない、自分は何者にもなれない。それが大人。大人になると言うこと。

 誰にだって憧れる存在があった。


 夢、と言えば、見るのは自由だった。


 スーパーヒーローになりたい。プロ野球選手に、魔法少女に、売れっ子アイドル、なんだっていい、叶わせることが難しい夢でも本気でなれると信じていた。


 あの頃はなれるかどうかなんて考えていない。自分はヒーローでアイドルだ。そう信じ込んでいた。


 みんなもそんな時期があったはず。


 だけどそんな夢、は夢物語で、叶うことがないと気づく。


 この世界に魔法はどうやっても存在しないし、自分は大して可愛くも無い。野球が自分よりうまい奴なんてごまんといるし、それで食べて行けるわけがない。


 みんないいところ中学生辺りで現実を見始める。夢いっぱいだった小学生は中学生で性欲を覚えて欲求が増える。夢、なんかよりも簡単に気持ちのいいものを見られることを知る。そして進路が見えてきて急激に現実が見える。


 プリキュアになりたいです。そのための高校に進学したいです。


 進路相談でそんなことを言ったら先生が隣に座りだして心配しだすかぶん殴られるだろう。


 それこそ中学時代で野球の成績を残していて高校に行っても頑張りたいと言う話なら現実味がある。だけど中学三年生のバレー部の男子がルーキーズを読んで高校で野球をして甲子園に行きたいから強豪校に入りたいですと言えば、グーパンが飛んでくる。


 だからみんな現実を見いだす。

 夢が叶いそうな人間はその時にはもう行動しているから、さあ進路を答えなさいのタイミングで今までに一度もなろうとしなかった夢を掲げる時点で負けなのだ。


 結局最初から努力をしてなければいざという時に周りに反対される。


 それで自分に残された道はと言うと、決められた道しか残っていない。


 学費の安い公立の高校、なるべくは家から近い方がいいよ。

 大学はお金がないから就職を、就職先はここがいいんじゃない?


 自分の進路なのに周りの意見で決めてきた。


 うん、はい、いいと思います。


 だけど悪いのは自分だ。自分のことなのにやりたいことも進むべき道も自分で決めてこなかった。明確にこれがやりたいというものがあれば両親や先生たちの言葉を押し切ってやることもできたはずだ。だけどそうしなかった。

 

 現実を見るのが面倒だったから、不安のまま流されて不安のまま生きてきた。自分の道も決められない大人になっていた。


 高校三年生の進路という道が見えてくるまでは自分は最強だと思っていた。僕は馬鹿だったから、高校三年生でもまだこの世界の主人公だと信じ込んでいた。誰かのヒーローになれると、何者かになれると本気で思っていた。


 だけど進路の問いになんも答えられなくて、即興で海外に行きたいと答えた。何も計画も無い。でもその時は半分本気だった。


 もちろんとりあえず就職しろと言われて、就活を進めた。適当な就活は僕だけ落ちて、クラスの一社目での就職率100%を終わらせてしまった。

 落ちても正直、どうでもよかった。

 

 面接会場で他の面接を受ける子に、この会社ってどんな仕事? と聞いてしまったくらいに適当だった。

 

それでも2社目に受かってそこで8年間働いた。ヒーローになれると思っていた僕は何もしないまま堕落した生活で体重も増加して、見るに堪えない状況にまで落ちた。どこにも書けないようなことも起きた。


 自分は主人公なんかじゃない。そんなことを思うことも無くなった。

 これが大人になるということ……。

 


 そうならないためには自分を生きるしかない。自分のやりたいことを明確に持つ。それをやるだけで生きている時間の価値は自分の中で変わってくるはず。


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